News Release

若年の幹細胞ドナーは疾患に関連する未検出の遺伝子変異を保有している

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ドナーとレシピエント25組を対象としたパイロット研究により、健康で若年の幹細胞ドナーでは、移植によって非血縁者に移行した血中幹細胞の中に、疾患の原因となる遺伝子変異が検出されずに存在することが示された。さらに包括的な研究が必要であるが、今回の研究結果から、移植後の合併症に関連付けられてきたこうした遺伝子変異は、これまで考えられていたよりも若年ドナーに多く存在する。幹細胞移植は、血液に関連する疾患、例えば酵素欠乏や一部の血液がんなどの治療に用いられ、治癒が得られる場合もある。諸研究により、50歳を超えた幹細胞ドナーでは、血中幹細胞に少なくともある程度の遺伝子変異が蓄積されており、このプロセスはクローン性造血(clonal hematopoiesis)と呼ばれている。このような遺伝子変異は、すぐに疾患の徴候につながるわけではないが、最近の研究では、移植を受けた患者において、こうした変異が重篤な病態、例えば冠動脈疾患や移植片対宿主病などと関連づけられている。Wing Hing Wongらは最新のシークエンシング法を用いて、思春期および若年成人期の被験者(適格であった幹細胞移植の非血縁ドナーの86%を占めた)を対象にクローン性造血について研究を行った。マッチさせたドナーとレシピエント25組において、ドナーの11例(年齢中央値26歳)が、標準的なシークエンシング法で検出できなかったクローン性変異を有しており、これらの変異の84%が病原性を有すると予測された。重要なこととして、これらの変異はすべて移植レシピエントに移植されたものであり、これらのクローンは移植後100日以内にレシピエントの体内で増殖した。今回の研究結果がもつ臨床的意義については今後の研究がまたれる、とWongは述べた。そのうえで「より包括的な研究が行われるならば、我々は注意深い検査を行わなければ検出されないような、しかしレシピエントに臨床的合併症をもたらす可能性のある遺伝子変異について、注意深いスクリーニングをドナーに対して行う必要が出てくるかもしれない」と、Wongは付け加えた

###


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.