News Release

遺伝子組み換え寄生虫に基づくマラリアワクチンについてヒト被験者で安全性および有効性のサインが示される

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

遺伝子組み換えマラリア原虫に基づく2つのマラリアワクチンが、ヒトにおいて安全であることが分かり、防御効果を示唆する予備的所見が示された、と2組の新たな第1/2a相臨床試験で報告されている。有効性を判定するにはさらなる研究が必要であるが、これらの新規ワクチンは、長いこと求められてきたが手に入れられなかったマラリアワクチンを開発するための有望なアプローチとなる。薬物療法や蚊帳などの介入法により、この二~三十年間でマラリアによる健康負担は減少してきたが、発展途上国においてマラリアは依然として公衆衛生上の極めて大きな課題であり続けている。有効なワクチンを開発することは、この50年にわたって研究者にとって大きな目標であったが、ほとんどのワクチン候補は試験において持続的な利益を示すことができなかった。Isaie Reulingらは、げっ歯類に感染するがヒトではマラリア疾患を引き起こさないマラリア原虫Plasmodium bergheiの遺伝子組み換え原虫に基づいたワクチンを以前に開発した。この組み換え原虫は、ヒトにおいてマラリアを引き起こす主原因となる極めて近縁のPlasmodium falciparumに由来する蛋白質を発現するよう作製された。今回著者らが、開発したワクチンを24例のヒト健康被験者に投与したところ、ワクチンに対する忍容性は高く、重度の副反応は認められなかった。このワクチンにより、ワクチンを投与した被験者をP. falciparumに感染した蚊に曝露させたところ、感染発生の遅延が認められ、この効果は原虫が生きた細胞の中に侵入することを阻止することによる可能性がある、と著者らは推測している。著者らはまた、ワクチン投与によって肝臓におけるマラリア原虫の量が95%減少すると推定しており、これによりヒトに対して何らかの防御をもたらす可能性が示唆される。

同様のアプローチを用いて、Meta Roestenbergらは自分たちが作製したワクチンPfSPZ-GA1の第1/2a相試験を実施した。このワクチンは、遺伝子組み換えにより弱毒化した原虫P. falciparumに基づくものである。著者らは19例の被験者を対象に様々な用量でこのワクチンの試験を行い、このワクチンは忍容性が高く、安全であることを確認した。著者らは次いで、39例の被験者を対象にPfSPZ-GA1または対照ワクチンを24週間にわたり3回投与し、野生型P. falciparumに感染した蚊に対照群を設定して曝露させた。ワクチン投与群では3例の被験者で完全な防御効果が得られた一方で、他の被験者では防御効果の所見が示されてマラリア感染が遅延したのに対し、プラセボワクチンを投与された被験者は9例であった。ReulingらとRoestenbergらは、新規ワクチンの効果について決定的な結論を出すにはさらなる研究が必要であると述べているが、これらの結果はさらなる試験を行う価値があることを示唆している。

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