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インフルエンザワクチンにより動物において様々なインフルエンザウイルス株に対する防御抗体が産生される

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ナノ粒子を利用した一連のワクチンが、非ヒト霊長類で様々なインフルエンザウイルス株に対して防御抗体を誘導することが、Nicole Darricarrèreらの研究により示された。さらなる研究が必要ではあるが、これらのワクチンはヒトにおける万能ワクチンにむけての重要なステップを画するものであり、これは感染症研究者にとって長年の目標であった。現在の季節性インフルエンザワクチンは感染症を予防できるが、多くの場合1年間しか効果がなく、その後は新たなワクチンを開発しなければならない。その理由は、インフルエンザウイルスが極めて速い速度で進化するためであり、したがって1年前のワクチンでは新規ウイルス株に対する免疫系の防御態勢を準備できない可能性がある。毎年にわたって有効性を維持できるような万能ワクチンが開発されれば医学における大きな達成となるが、そのようなワクチンを開発することは難しい。しかし、科学者たちは、インフルエンザウイルスが進化しても一定に保存されるウイルス表面上の主要蛋白(ウイルスが細胞内に侵入することを可能にする蛋白など)を組み込めば、理論上では有効な万能ワクチンが得られるとしている。この戦略に基づいて、Darricarrèreらは、インフルエンザウイルスの表面蛋白であるヘマグルチニン(HA)の変化型およびエマルジョン型ワクチンアジュバントを送達するためにナノ粒子を利用したインフルエンザワクチンの効果を試験した。非ヒト霊長類にこのワクチンを投与したところ、パンデミックの原因となると考えられている複数のH1およびH3インフルエンザウイルスに対する防御抗体の産生が誘導された。さらに、これらの抗体は強力であり、ヒト抗体と同様にウイルスを認識することから、このワクチンは幅広い免疫を惹起する可能性が示唆される。Darricarrèreらは、今回の研究はワクチン反応の持続性を評価していなかったが、このワクチンは現在、早期臨床試験において試験中であると述べた。

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