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古代ゲノム解析により、カリブ諸島では3回の移住イベントで人が定住した

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究で古代カリブ海諸島民93名のDNA鑑定を行った結果、新たな発見がなされた。それによると、カリブ海諸島では少なくも3回にわたって継続的にアメリカ大陸本土から人類が入り、定住と再定住を繰り返したという。この結果からは、カリブ海諸島における初期の人類定住について情報が得られるとともに、カリブ人についてその複雑な歴史と南北アメリカ大陸における大陸間の人類拡大との関係も明らかになる。カリブ海諸島は南北アメリカ大陸では最も遅くに人類が定住した地域の1つである。最古の考古学的エビデンスにより、カリブ海諸島の最初の定住者は約8,000年前にこの地域に到達し、5,000年前までに広く拡散したことが示されている。しかし、いつ、どこから、どのように最初の定住者がアンティル諸島に到達し、住むようになったのかはよく分かっていない。カリブ人定住の歴史の大半は、考古学的発見の解釈への依存が大きかった。カリブ海諸島の遺跡とその周辺のアメリカ本土の遺跡から出土した人工遺物群の様式比較などである。これらの手法によって広範な人の移動は明らかになったが、カリブ人のより細かな歴史の多くは依然として分かっていない。Kathrin Nägeleらはこれら未解明な部分を明かすべく、400~3,200年前にカリブ海諸島に住んでいた島民93人の全ゲノムデータを作成した。彼らの解析で、少なくとも3回の独立した移住イベントがあったという新たな遺伝学的エビデンスが得られた。2回はカリブ海諸島西部への初期の拡散イベントである。そのうちの1回はこれまで知られていなかったもので、中央および南アメリカの人々の多様化に先んじて起こった北アメリカでの放散イベントと関連があると考えられる。その後、南アメリカから拡散した集団が到達し、陶器などの新しい技術を持ち込んだ。これはこれまでの考古学的解釈を裏付けるものである。今回の結果では、カリブ海地域最古の定住者と南アメリカからの新参者の間には顕著な遺伝的差異があることも明らかになった。彼らは数百年にわたって共存してきたにもかかわらず交雑のエビデンスはほとんど見られず、彼らの相互関係について興味深い疑問が新たに持ち上がった。

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