News Release

陸上と淡水を統合した計画によって保護できる熱帯淡水種は倍増する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

保全計画では、概して陸上生態系とそこに生息する生物が優先され、淡水種は付け足しのように考えられることがある。しかし、新しい研究によると、陸生種に重点を置いた従来の保全計画に、水生種のニーズを組み込むことで、陸上の保全目標を損なうことなく、熱帯淡水生態系の保護を大幅に改善できるという。淡水生態系が地球表面に占める割合は1%に満たないが、そこには脊椎動物の3分の1をはじめ、既知の種の10%近くが生息している。また、淡水生態系は最も脅威にさらされた生態系であり、陸上生態系や海洋生態系の2倍近いペースで生物種が減少している。しかし、地球の生物多様性を保つうえで不可欠であるにもかかわらず、淡水種は保全計画において付け足しとみなされることが多い。保護地域および保全戦略の計画では、陸上の生態系や種が圧倒的に優先され、そこに含まれる淡水系も利益を得るはずだと仮定するのが一般的である。アマゾン川流域の陸上および淡水に生息する1500種以上のデータを用いて、Cecília Lealらがこの2つの領域における保全のシミュレーションを行ったところ、こうした仮定が、実は、決して正確ではないことがわかった。この研究結果によると、陸上に重点を置いた保全計画において淡水が得られる利益の平均は、淡水に重点を置いた計画で得られるであろう利益のわずか22%であるという。しかし、Lealらは、陸上と淡水を統合する方法を用いれば、保護する陸上種をわずか1%減らすだけで、保護する淡水種を600%まで増やせることを見出した。詳細な淡水の生物多様性データが不足している(よくあることだが)熱帯地域においてさえ、陸上と淡水を組み合わせた方法を用いれば、保護できる種が2倍になるという。関連するPerspectiveではRobin AbellとIan Harrisonが、「いかなる優先順位付けにも常に妥協は存在する。しかし、Lealらによる研究では、健全な淡水とその流域が得る多様な利益について、補完的な分析を組み合わせた結果、こうした妥協が予想以上に容認できる可能性が示唆された」と述べている。

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