News Release

単粒子クライオEMにおける動きの問題を最低限に抑える

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

単粒子クライオ電子顕微鏡(クライオEM)は、これまで手に負えなかったタンパク質構造を解析でき、最近ではSARS-CoV-2構造を理解するための情報提供に貢献しているが、この技術にはまだいくつかの弱点がある。その1つは試料の動きに関連して情報が失われることである。新しい研究で、画像の質と収集効率を向上させる、イメージングする試料を良好に支持できる新しいグリッドが報告された。「利用可能な高価でないハードウエアの開発によって、全ての臨床医がはるかに迅速に良好な画像を得られるのは心躍ることだ。このグリッドが市販されればすぐにそれが可能になる」と、関連するPerspectiveでMicah RappとBridget Carragherは述べている。クライオEMの試料は、EMグリッドの支持フィルム上の浮遊タンパク質をガラス化した層である。技術は最近進歩したが、電子ビーム障害により試料に関する最高解像度の情報が失われることや試料の動きによりぼやけるなどの大きな障壁が存在し続けている。Katerina Naydenovaらは解析を行い、イメージング中の試料の動きの主因が、ガラス化した氷の層の歪みであることを示した。この見識に基づき、Naydenovaらは、試料の総合的な動きを減少させる、最善の厚みを有する支持フィルムを開発し、その金の試料サポートを「hexAuFoil」と名付けた。hexAuFoilは、通常の試料ホルダーに比べて小さく高密度に充填された孔が特徴である。この支持システムを用いるとデータスループットが顕著に増加した、とNaydenovaらは述べている。無視できる粒子の移動により、「ゼロ曝露」構造因子への外挿が可能になり、クライオEM構造で通常失われる特徴が明らかになる。これにより、特に高解像度での構造の決定が大きく促進されるとNaydenovaらは指摘している。

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