今回のPolicy Forumでは、糞便移植(FMT)を導入する動きが広がり続けているので、適切な規制の枠組みを整えることが不可欠であると強調し、現行の規制方法を改善するうえで重要な点を概説している。再発性クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)の患者に健康なドナーの糞便を移植することは、標準治療法だと広く見なされている。また、微生物移行は他の病気の治療法と見なされることも増えている。現に、微生物移行は非常に人気があり、未検査の糞便サンプルを使って自分でFMTを行っている人もいる。そうしたサンプルは病気に関する分析もされておらず、家族や友人から提供されたものであることから、FMTの利用可能性向上と規制がますます必要になっている。しかしDiane Hoffmannらは、移植物は非常に活動的で多様な生物の共同体であり、その多くは体外培養が難しいと述べている。糞便は「ロット」ごとの違いが大きいため、ある決まった共通の規制法を適用することはできないだろう。米国食品医薬品局(FDA)は直近に立場を明らかにした際、糞便バンクに対して、糞便を入手して医師に分配するには治験新薬申請(IND)を出すよう求めていく方針を発表した。この方法は、FMTの利用に伴う障壁と費用が増えるとして以前から批判されている。今回のPolicy Forumでは別の方法を提案している。その方法とは、糞便バンクに登録所への報告を義務付けて、安全性と有効性に関する患者のアウトカムデータを継続的に収集できるようにする一方で、CDIの糞便治療を広めるためにINDの提出は義務付けないというものである。それに加えて、医師や研究室がCDI治療のために(実証されていないその他の治療は対象外)、独自の判断で糞便を分配する権限を残しておくよう提言している。
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