生ウイルスの構成成分を遺伝子的に微調整することで、免疫系の活性化はできても健康な細胞内では複製できないウイルスを使ったインフルエンザワクチンが作られた。この製造方法は他のウイルスに適合する生ウイルスワクチンの製造で広く使用されるようになると考えられる。このワクチンはマウス、モルモットおよびフェレットで有効であることが証明されている。ウイルスワクチンを開発する上での大きな課題は免疫反応を引き起こすに十分なウイルスを含有させることであるが、その一方で、そのウイルスに全身を駆け巡らせ、健康な細胞に感染させてはならない。Longlong Siらはこの問題を克服するために、インフルエンザA ウイルスの遺伝コードを改変し、異常なアミノ酸に依存するように操作した細胞株内のみで感染および複製できるようにした。重要なことは、彼らが改変したウイルスは免疫系の活性化という点においてのみ有効で、健康な細胞内では複製できないことである。マウスでは、ワクチンという形で感染した改変細胞を投与することでインフルエンザを完全に予防することができた。この新しいワクチンは既存の生ウイルスワクチンに匹敵する抗体反応を示すことが判明した。また、二度の投与により抗体価はさらに6~8倍上がる。他の複数のインフルエンザ株に対する検査やモルモットとフェレットでの検査でもこのウイルスワクチンに同様の有益な効果が見られた。この種のウイルスワクチンは細胞株内でゲノムが操作およびパッケージングされる限り、ほぼ全てのウイルスに適合可能だとSiらは述べている
###
Journal
Science