News Release

オーダーメイドアッセイは乳癌患者の腫瘍DNA検出における限界を克服する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らは、個々の患者の特定のがん遺伝子変異に合わせたオーダーメイドプラットフォームを開発して、TARDISと名付けた。このプラットフォームにより、乳癌患者33例で血中腫瘍DNA(ctDNA)と残存疾患の徴候が正確に検出された。この技術は、これまでのアプローチと比べて感度に100倍の改善が認められた。さらなる試験が必要であるが、このアッセイはやがて、患者が化学療法にいかに反応するかのモニタリング、ならびにより早期段階での腫瘍再発の同定に用いられるようになる可能性がある。近年、ctDNA(腫瘍部位から排出され、血中を循環するDNA)を調べることでがんの検出やモニタリングを行うために様々な技術が開発されてきた。しかし、ctDNAは非腫瘍細胞に由来する血中DNAと比べて、はるかに量が少ないことが多く、そのために、特に既に化学療法を受けている患者では検出が難しくなる。このような問題があるため、多くのがん患者における主要な懸念である再発疾患の徴候を検出するのに十分な感度を有するプラットフォームの開発が妨げられてきた。この問題を解決するため、Bradon McDonaldらはTARDISを開発した。TARDISは、少量のサンプルから、個々の患者に特異的な遺伝子変異を分析するシークエンシングプラットフォームである。このアッセイは、試験管1本分の血液と同等量のDNAを分析して、既知の8~16の変異を同時に検討できる。TARDISにより、治療を受ける前の乳癌患者33例の血漿サンプルで ctDNAを検出することができ、またこれらの患者で治療完了後にctDNA濃度が低下したことが示された。さらに、化学療法に最も良好な反応を示した患者では、ctDNA量に96%の減少が認められたのに対し、残存疾患を有する患者では77%の減少にとどまった。このことは、このプラットフォームが、がん再発のリスクを有する患者に対するオーダーメイド管理の指針となり得ることを示している。関連するビデオで著者らは、TARDISが臨床現場で用いられるようになる前に、今回の結果についてより大規模な試験で妥当性の検証を行うべきだと述べている。次のステップとしては、何百人もの患者で使用するための、このプラットフォームのスケールアップなども含まれる。

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