News Release

白内障の原因となる蛋白質の凝集塊を「ほどく」化合物

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

白内障に伴う「濁り」を低減する化合物が同定され、このよくみられる加齢性眼疾患の新たな治療法につながる可能性がある。白内障は世界的に失明の原因としてもっとも多くみられるが、現行の治療法は外科手術に限られている。発展途上国ではこの治療法が常に利用できるとは限らない。白内障は、水晶体内のクリスタリン蛋白質が損傷を受け、ミスフォールドして凝集し不溶性の塊になることで生じる。αAクリスタリン(cryAA)とαBクリスタリン(cryAB)は、とくに水晶体に多く含まれる蛋白質で、ほかの蛋白質を分解する重要な役割を果たし、加齢性白内障に関与していることが知られている。そこで、Leah Makleyらは、これらのクリスタリンに結合し安定させる分子の同定を試みた。Leah Makleyらは、ミスフォールディングを導くことで知られる遺伝子変異体(R120G cryAB)と正常なcryABの分解のポイントに明白な違いがあることに注目した。そして、これらの変異蛋白質の分解移行ポイントを正常に戻すための候補化合物、2,450種を調べた。Leah Makleyらは、cryAB蛋白質の2つのサブユニットのあいだにぴったり「納まり」、この蛋白質を効果的に安定化させる化合物29を同定した。試験管のなかで、化合物29はR120G cryABの凝集を防ぐだけでなく、すでに生じた凝集を部分的にもとに戻す(reverse)こともできた。また、重要なことに、マウスとex vivo研究でのヒトの水晶体検体において、この分子により白内障の水晶体の透明性が一部回復した。PerspectiveではRoy Quinlanがこの研究結果について詳しく考察している。

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Article #20: "Pharmacological chaperone for ɑ-crystallin partially restores transparency in cataract models," by L.N. Makley; K.A. McMenimen; B.T. DeVree; B.M. Dunyak; T.J. McQuade; A.D. Thompson; R. Sunahara; J.E. Gestwicki at University of Michigan in Ann Arbor, MI; J.W. Goldman; B.N. McGlasson; U.P. Andley at Washington University School of Medicine in St. Louis, MO; P. Rajagopal; R.E. Klevit at University of Washington in Seattle, WA.


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