News Release

人工衛星からの観察結果により窒素酸化物の残存期間における傾向の変化が示される

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

人工衛星による遠隔観察を用い、選択された北米の大都市の上空において、窒素酸化物(NOx)として知られる都市大気の汚染物質の残存期間の測定が初めて行われ、これまでの経時的な変化の様子が示された。NOxの残存期間を測定するこの新たな方法は、NOx濃度と並んで、非線形の特性を示す2つの因子の間の関係を解明するために、また都市部における大気の質が排出の低減に伴ってどのように変化するのかを予測する上でも、極めて重要である。したがって、今回の解析は今後の大気汚染制御の取組みにとって意義があると、著者らは述べている。その結果はまた、NOx排出の測定値にみられる矛盾する傾向に対して一貫した解釈を行う上で助けとなる可能性がある。というのは、NOxの残存期間における変化を考慮に入れることは、変化するNOx排出とNOx濃度との関係を正確に解釈にするために必要だからである。窒素酸化物、すなわち一酸化窒素と二酸化窒素は、強力な汚染物質であり、大気の質の制御において重要な役割を果たす。反応性の高いガスは、多くが自動車のエンジンや産業活動によって排出され、酸性雨や強力な大気汚染の主要な原因となっている。そうした大気汚染として、大気粒子物質や地表面オゾンの形成などが挙げられ、これらは全て植物やヒトに対して有害な影響を及ぼす。したがって、世界中の多くの国では、NOxの排出基準が定められ、大気汚染を抑えるためのテクノロジーが導入されてきた。しかし、そのために極めて必要な変数である、都市部におけるNoxの濃度と残存期間には、非線形の関係を解釈する必要があるという共通の難点があり、汚染物質内で発生する化学反応によってさらに解釈が複雑となり得る。Joshua LaughnerとRonald Cohenは、Berkeley High Resolution NO2 productによる人工衛星の毎日の観察結果を用いて、2005~2014年の34都市におけるNoxの残存期間にみられる変化を直接測定することを試み、そこに認められたパターンが標準的な化学モデルによる結果と一致することを示している。LaughnerとCohenは、研究対象として選んだ都市は全て、2013年までにNox抑制的な化学レジームの状態状態、すなわちNOxの濃度が上昇してもNOxの残存期間が短縮する状態に達していた、と示唆している。この結果から、NOxの排出量と濃度との関係を検討する際に、NOxの残存期間における変化を考慮に入れる必要があることが示される。この変化を考慮しないと、NOx排出量の推定が過少になったり、過剰になったりする可能性がある。しかし、NOxの持続期間を左右する因子について十分な理解を得るには、新たな技術が必要になる、と著者らは述べている。

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