News Release

いかにコレステロールが加齢関連のニューロン障害に寄与するか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

マウスを用いた新たな研究により、高齢者のニューロンでは、自らを保護する脂肪性の髄鞘を修復する能力が低い理由に光が当てられた。過剰なコレステロールがある種の免疫細胞に過度の負担をもたらし、その結果による持続的な炎症が自然な修復プロセスを妨げる可能性があるという。この結果から、ヒトにおいてコレステロールの除去を促進することを目的として開発中の薬剤が、神経再生療法の候補薬にもなり得ることが示唆される。Ludovico Cantuti-Castelvetriらはまず、若齢および高齢マウスの太い神経線維に等しい大きさの病変を作成して、高齢マウス群ではニューロンの表面を覆って保護する役割をする蛋白質であるミエリンを修復する能力が、若齢マウス群より低いことを確認した。食細胞は、神経が障害を受けた後に残るミエリンの断片などを含め、有害な粒子やデブリを消化して生体を保護する細胞である。高齢マウスの病変を詳細に調べたところ、食細胞がこれらの病変部位に残っており、興味深いことにその「内部器官」 であるリソソームが過剰なコレステロール結晶を含んでいることが明らかになった。コレステロールは食細胞によっては分解できず、細胞膜外へと輸送される必要がある。著者らは、コレステロールの蓄積が食細胞のコレステロール輸送能力を妨げるという仮説を立て、これを確認した。著者らが、コレステロール輸送をつかさどる重要な遺伝子に障害のあるマウスを調べたところ、若齢マウスでもミエリン修復能力が低下しており、この影響は、細胞膜を越えてのコレステロールの輸送と溶解を促進する化合物を投与したところ回復した。同様に、高齢マウスにおいて細胞膜でのコレステロール輸送を高めることが知られている化合物を用いた場合も、病変の再生能が改善することが分かった。

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