News Release

すべての海洋保護区が同じとは限らない

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

欧州にはすばらしい海洋保護区(MPA)ネットワークがあり、現在領海の29%を占めているが、保護のために指定されたにもかかわらず海洋生物多様性の保全という点では思ったほど効果が出ていない。新しい報告によると、欧州のMPAに指定された半分以上(59%)の海域では、非保護区よりも盛んに漁業が行われており、そこに生息している敏感な種が大幅に減少しているという。この結果は、欧州連合(EU)内にMPAの基準がないために広範な保全目標が阻害されていることや、MPAに指定しただけでは最も敏感な種の保護にはほとんど効果がないことを示唆している。EUには多様なMPAが存在し、どれも生物多様性の保護を目標にしているが、商業漁業に対処しているところはほとんどない。欧州で最も一般的な(そして最も大きな被害をもたらす)商業漁業形態であるトロール漁は、海底の生息環境や生物多様性だけでなく、多くの絶滅危惧海洋種にとって大きな脅威であることがわかっている。Manuel Dureuilらは、欧州の727ヵ所のMPAについて商業漁業の程度を評価するとともに、板鰓類(サメやエイなどの軟骨魚類)に注目して、漁業が生物多様性に及ぼす影響を評価した。板鰓類は特に敏感な「指標種」である。Dureuilらは、商業トロール漁が非保護区内よりもMPA内のほうが38%盛んであることを見出し、現行の規制ガイドラインではMPAに指定されても漁獲圧力は減少しないことを実証した。さらに、彼らが分析した区域では稀だが、トロール漁が盛んな区域では特に、保護区内よりも保護区外に板鰓類が多いことがわかった。しかも、その他の絶滅危惧種や近絶滅種はすべて、MPA外のほうが5倍多かった。この結果から、MPAが真の保護区となるためには規則を強める必要があることが示唆された。

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