NFTで個人医療情報をうまく管理できるようになるか？

Policy ForumではKristin Kostick-Quenetらが、非代替性トークン（NFT）を利用することで、医療情報交換（HIE）における個人医療情報（PHI）の管理向上が可能かどうかを論じている。「NFTやNFTに似た仕組みを導入すれば、より民主的で効率的で透明性の高いHIEシステムを押し進めるきっかけになり、PHIを誰とどのように共有するかを患者が決定できるようになるだろう」とKostick-Quenetらは主張している。医療やトランスレーショナルリサーチ（橋渡し研究）においてビッグデータと機械学習の重要性が高まり続けるなか、個人のPHIは、それを利用しようとする人にとってますます価値のあるものになっている。こうした情報はHIEを介して交換されることが多い。HIEは商業的利益に支配される市場であり、そこでは機関や組織や第三者が、患者に知らせることや同意を得ることなく、PHIに頻繁にアクセスして利用している。多くの場合、患者は自分のPHIデータのうちどれを誰と共有するかに関して、発言権はほとんどない。しかし、著者らによると、独自独特の特徴をもつNFT（NFTは近年、デジタル資産所有との関連で、文化の急激な発展に貢献している）を用いれば、PHIのアクセスと利用を通して、患者がより多くの援助を得られる状況は多いという。要するに、NFTを用いれば、ブロックチェーン技術でデジタル情報の所有と管理を確実に行えるのである。今回、Kostick-Quenetらは、どうすればこの技術を医療データに応用できるかを探っている。また、データセキュリティ、プライバシー、知的所有権、公平性、持続可能性、技術に対する社会的信頼をどう確保するかなど、応用する際に考慮すべき現実的・法的な問題点についても検討している。