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早老症ウェルナー症候群の細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立に成功、新規治療法の開発と老化の機序解明に道!

Hiroshima University

このニュースリリースには、英語で提供されています。

本研究成果のポイント

  • 京都大学・山中教授が開発した細胞の初期化技術により、日本人に症例が多い早老症ウェルナー症候群の線維芽細胞からiPS細胞を樹立することに成功しました。

  • 樹立されたiPS細胞では、ウェルナー症候群の細胞に特徴的な老化関連遺伝子の発現が正常iPS細胞と同程度に抑制されるとともに、テロメラーゼの働きによって分裂寿命が大幅に延長され、この疾患によって老化が進んだ細胞を若返らせることに成功しました。

  • ウェルナー症候群iPS細胞の樹立によって、患者さんからの提供が困難な膵臓を始めとする内分泌系の細胞や血管の細胞をこのiPS細胞から作り出すことが可能となり、治療薬のスクリーニングや移植医療への応用が期待されるとともに、老化の機序解明にもつながる可能性があります。

広島大学大学院医歯薬保健学研究院 嶋本顕准教授と田原栄俊教授のグループは、千葉大学大学院医学研究院・医学部附属病院の横手幸太郎教授のグループと東京女子医科大学東医療センターの後藤 眞客員教授、がん研究会がん化学療法センター、鳥取大学、慶應義塾大学等との共同研究により、ヒト遺伝病であり早く老化が進む病気ウェルナー症候群(※ 1)の患者さんの細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)(※2)を樹立することに成功しました。この研究成果によって患者さんのiPS細胞から患部の細 胞を作り出すことが可能となるため、治療薬のスクリーニングや移植治療への利用、さらに老化の機序の解明が期待されます。

本研究成果は、11月12日(水)(米国東部標準時)付けで、米国Public Library of Scienceの科学雑誌『PLOS ONE』にオンラインで掲載されました。

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URL: http://www.plosone.org

論文名: "Reprogramming Suppresses Premature Senescence Phenotypes of Werner Syndrome Cells and maintains chromosomal stability over Long-Term Culture" 著 者: A. Shimamoto, H. Kagawa, K. Zensho, Y. Sera, Y.Kazuki, M. Osaki, M Oshimura, Y. Ishigaki, K. Hamasaki, Y. Kodama, S. Yuasa, K. Fukuda, K. Hirashima, H. Seimiya, H. Koyama, T. Shimizu, M. Takemoto, K. Yokote, M. Goto, and H. Tahara

※1 ウェルナー症候群

ウェルナー症候群は常染色体劣性遺伝病で、思春期以降、皮膚や髪の毛に実年齢に比べて「老化が加速した」ように見える諸症状を呈することから"早老症"と呼ばれています。そして、加齢とともに見られる生活習慣病の糖尿病、動脈硬化や骨粗鬆症を合併し、患者の寿命を短くする要因となっています。これまでに全世界で報告された患者のおよそ8割が日本人で、我が国において発症頻度が高い疾患で、患者はWRN遺伝子に突然変異をもち、日本人の100 人に1人が保因者と報告されています。患者細胞の分裂寿命は健常者の半分ほどで、WRN遺伝子から作られるWRNヘリカーゼタンパク質の異常が、細胞の分裂寿命をカウントするテロメアの機能不全を引き起こし、老化を加速させると考えられています。

※2 人工多能性幹細胞(iPS細胞)

人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、様々な種類の細胞を生み出す未分化な細胞で、皮膚や血液の細胞に多能性遺伝子を導入することにより作り出すことができます。その内、Oct3/4, Sox2、Klf4、そしてc-mycは山中4因子と呼ばれ、京都大学の山中教授らによって発見、開発されたこの技術によって、さまざまな疾患のiPS細胞を作ることが可能となり、疾患の治療薬の開発や再生医療への応用が期待されています。

参照URL: http://www.hiroshima-u.ac.jp/news/show/id/21511

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