Public Release: 

光を用いてマウスの健忘を治す

American Association for the Advancement of Science

このニュースリリースには、英語で提供されています。

不安定化されて忘れられたマウスの記憶が、記憶痕跡(エングラム)、すなわち記憶がコード化される時に発火するニューロンの特定のパターンを、光を用いて活性化することにより、回復することができたという。これらの所見は、記憶の固定という、新しい不安定な記憶が安定した長期記憶に変化するプロセスに関する新しい洞察を提供する。これまで研究者は、記憶の固定が上記のような記憶痕跡の安定化に依存しているかどうかを疑問に思っていた。ところがToms Ryanらは、このことはマウスの逆行性健忘には当てはまらないことを明らかにした。著者らはまず、恐怖条件付け学習時の健康なマウスの海馬ニューロンを調べたところ、記憶痕跡細胞はそれ以外の細胞と比べて高い強度のシナプスと高密度の樹状突起をもつことが分かった。著者らはこれらの記憶痕跡細胞に光感受性タンパク質でタグ付けを行い、次いで24時間後に一部のマウスにアニソマイシン(ANI)というタンパク質合成阻害剤を注射した。ANIを注射したところ、記憶痕跡細胞のシナプス強度と樹状突起密度が低下し、これらのマウスは前日に経験した恐怖条件付けを忘れてしまった。驚いたことに、Ryanらは光を用いてこの逆行性健忘を克服、つまり、恐怖条件付け時に光感受性タンパク質によりタグ付けされた記憶痕跡細胞を活性化させることで、マウスの恐怖の記憶を回復させることができた。これらの所見を併せると、記憶のコード化には記憶痕跡細胞が必要であること、またこれらの細胞の強化されたシナプスが記憶想起プロセスにおいて極めて重要な役割を果たすことが示唆される。著者らによれば、著者らが記憶の固定化の研究に用いた光遺伝学的アプローチは、アルツハイマー病などの、他の実験的および臨床的健忘症例にも適用できる可能性があるという。

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Article #12: "Engram cells retain memory under retrograde amnesia," by T.J. Ryan; D.S. Roy; M. Pignatelli; A. Arons; S. Tonegawa at Massachusetts Institute of Technology in Cambridge, MA; T.J. Ryan; D.S. Roy; M. Pignatelli; A. Arons; S. Tonegawa at RIKEN in Cambridge, MA; T.J. Ryan; A. Arons; S. Tonegawa at Howard Hughes Medical Institute in Cambridge, MA.

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