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ラクダのMERSウイルス:さまざまな変異とワクチン

American Association for the Advancement of Science

最近の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の大流行を考慮して、2件の研究が、生命を脅かすこの病原体に関する新たな見識を提供している。1件目はヒトとラクダの間で広まっている5種類のウイルス株を同定した研究、2件目は、病原体の広がりを抑える予防的方法として働くラクダ用のMERS-CoVワクチンの評価を行った研究である。過去3年間、中東で複数回のMERS大流行が報告され、最近は韓国で報告があり、死亡率は約35%であった。ヒトコブラクダがMERS-CoVの主な宿主である。ウイルスはラクダ内で高頻度で変異し、ヒトに感染する。このウイルスの性質に関して深い見識を得るため、Jamal Sabirらは、2014年5月~2015年4月に、サウジアラビア(MERSの影響を最も大きく受けている)のラクダ1,300頭以上から検体を採取した。この検体中の MERS-CoV存在率は12%であった。遺伝子の配列決定を行ったところ、5種類のMERS-CoV株が同定され、すべてがヒトとラクダのMERS-CoV配列を有していた。このことは、種間伝播の障壁が低いことを示している。さまざまなCoVがあること、および多数の種に感染できる性質を持つことは、将来さらにMERS-CoVが多様になっていくことを示唆している。韓国での最近の大流行のように、人口密度、気候条件、社会的要因の変化が他の地域でのMERS-CoVの広がりに寄与する可能性があるが、Jamal Sabirらは、動物とヒトの接点での伝播予防が、ウイルスの脅威を抑えるために最も有効な方法であると考えられると結論づけている。

2件目の研究では、Bart Haagmansらが、ポックスウイルスを送達法として利用して、ヒトコブラクダのMERS-CoVスパイク蛋白質を発現するワクチンの有効性を試験した。ワクチンを 経鼻的および筋肉内経路で投与したところ、3週間以内にすべてのラクダが検出可能な濃度のMERS-CoV抗体を産生した。このウイルスに感染したとき、MERS-CoVワクチン接種済みラクダは、対照ラクダと比較して、軽度の臨床症状しか経験せず、ウイルスの濃度が有意に低かった。MERS-Covワクチン接種済みラクダの防御レベルはラクダが持つ中和抗体の濃度と関連していた。ワクチンは改変ラクダ痘ウイルスを用いているため、ワクチンを接種したラクダでは、このラクダ痘(ヒトコブラクダによく感染する病原体)に対する抗体と防御も増加した。

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