Public Release: 

心拍数の変動からてんかん発作の予知に成功

~ウェアラブル予知デバイスの開発が進行中~

Kumamoto University

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IMAGE: 【図3】現在開発中のウェアラブル発作予知システム(イメージ) view more

Credit: Dr. Toshitaka Yamakawa

(概要説明)

熊本大学 大学院先導機構・大学院自然科学研究科の山川俊貴テニュアトラック助教は、京都大学 大学院情報学研究科の藤原幸一助教、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の宮島美穂助教らとの共同研究で、脳の病気であるてんかんの発作を、脳波ではなく心電図をもとに算出した「心拍変動」という指標から高精度で予知することに成功しました。  

本研究成果は、日常的に身につけることが可能(ウェアラブル)なてんかん発作予知システムの開発に繋がるもので、発作による怪我や事故を防ぎ、患者さんが安心して暮らすことのできる社会の実現に大いに貢献するものです。

 

本研究成果は、文部科学省科学研究費補助金、文部科学省テニュアトラック普及・定着事業、てんかん研究振興財団研究助成、三菱財団自然科学研究助成等の支援を受けたもので、医用工学のトップジャーナル「IEEE Transactions on Biomedical Engineering」オンライン版(プレプリント版)で2015年12月24日(木)に公開されました。

また、世界的権威のある科学誌「Science」の姉妹紙「Science Transrational Medicine」のEditor's Choiceでも紹介されました。

○論文タイトル
Epileptic Seizure Prediction Based on Multivariate Statistical Process Control of Heart Rate Variability Features ○論文著者
Koichi Fujiwara; Miho Miyajima; Toshitaka Yamakawa; Erika Abe; Yoko Suzuki; Yuriko Sawada; Manabu Kano; Taketoshi Maehara; Katsuya Ohta; Taeko Sasai-Sakuma; Tetsuo Sasano; Masato Matsuura; Eisuke Matsushima

○掲載誌等
IEEE Transactions on Biomedical Engineering (Volume:PP, Issue:99 )
DOI: 10.1109/TBME.2015.2512276
http://ieeexplore.ieee.org/xpl/articleDetails.jsp?reload=true&arnumber=7365453
○科学誌「Science Transrational Medicine」Editor's Choice記事
http://stm.sciencemag.org/content/8/323/323ec12

(説明)  

てんかんは全人口の約1%が罹患する病気です。脳の慢性的な疾患で、脳の神経細胞(ニューロン)に突然発生する激しい電気的な興奮により、発作を繰り返す特徴があります。患者さんの多く(約7割)は抗てんかん薬の服用などで発作を抑制し、問題なく日常生活を営むことができます。  

しかしながら、中には薬の効きにくい難治性てんかんもあり、いつ起こるかわからない発作に患者さんは毎日不安をかかえながら生活しており、発作を予知する仕組みの開発が強く求められていました。

 心拍数を用いたてんかん発作の予知においては、これまでのような変動解析手法による分析方法では、平常時と発作前の差がわかりにくく、個人差も大きい状態でした。このため偽陽性(誤報)が多く、実用化は困難と考えられていました(図1参照)。

 そこで、今回私たちは多変量統計的プロセス管理(Multivariate Statistical Process Control, MSPC)という工学的手法で、心拍数の揺らぎを解析しました。対象としたのはビデオ脳波モニタリングというてんかん検査のために入院した患者さんで、14名の心電図データをMSPCによって解析したところ、実に91%という高い精度で発作を予知することが可能であることがわかりました(偽陽性頻度は1時間に0.7回)。さらに今回の研究成果で、発作が起こる約8分前[正確には494262秒(平均SD)前]に予知することが可能である事がわかりました(図2参照)。平常時と発作前の差異が非常にわかりやすく、偽陽性が少ないことから、高精度なてんかん発作の予知が可能であることが本研究において証明されました。

 本研究によって日常的に身につけられる(ウェアラブル)発作予知デバイスが開発されれば、発作が起こる前に安全を確保する対策を、患者さん自身で出来るようになります。装置を装着するのは心臓のそばなど外からは見えないところで、目立つことなく身につけて日常生活を送ることができます。実際に我々は現在、ウェアラブルてんかん発作予知装置(図3)の開発を進めています。本装置の開発については、現在既に東京医科歯科大学医学部附属病院、国立精神・神経医療研究センター病院等の複数の医療機関において臨床研究が進められています。

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【お問い合わせ先】
熊本大学 大学院先導機構
兼 大学院自然科学研究科(電気電子工学)
担当:山川 俊貴 (テニュアトラック助教)
e-mail:yamakawa@cs.kumamoto-u.ac.jp

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