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父親のミトコンドリアはなぜ子孫に引き継がれないのか?

American Association for the Advancement of Science

ミトコンドリアは多細胞生物内で機能している細胞に欠かせない構成要素で、母親の卵子のもののみが伝わり、父親の精子からは引き継がれない。それはなぜなのかという、生物学で長年の間謎とされてきた不可解な偏りに対する新たな見方が研究により提唱された。さらには父方のミトコンドリアが発育段階で長く留まることにより胚に危険が及ぶことが研究により明らかになった。ほとんど全ての多細胞生物、植物および菌類の細胞にはミトコンドリアが存在している。ミトコンドリアは細胞が生きるために必要なエネルギーの生成に重要な役割を果たす細胞小器官である。受精時、精子が卵子内に侵入した直後に精子のミトコンドリアは分解されるが、卵子のミトコンドリアは残存する。受精時に特有のこの分解の実態を深く理解するために、Qinghua Zhouらは電子顕微鏡と断層撮影を用いて、線虫の一種であるCaenorhabditis elegansの、発生段階早期における精子(父性)のミトコンドリアを研究した。興味深いことに、オートファゴソームという細胞内の構成要素を標的にしてその分解を促進する細胞小器官に取り囲まれる前に、父性ミトコンドリアは一部が自滅することがわかった。このことは、父性ミトコンドリア自体の内部から自滅プロセスが開始されるという、もうひとつの機序を示唆している。胚発生の早朝段階にある父性ミトコンドリアのRNA解析によって、cps-6遺伝子がこのプロセスを促進していることが示唆された。研究チームはcps-6欠損精子を調べてこれを確認した。cps-6が欠損している場合、父性ミトコンドリアは発生段階のかなり遅い時期まで残存していた。一連の実験を用いた更なる研究によると、cps-6がコード化した酵素は、まず父性ミトコンドリアの内膜を破壊し、その後内膜の内側に移動しミトコンドリアのDNAを破壊するようである。研究者が父性ミトコンドリアを操作し、発生段階のより遅い時期にこのミトコンドリアが破壊されるようにすると、その胚が生き残れなくなる見込みが増加した。このことから、父性ミトコンドリアの伝達は進化の不利益となることが示唆される。この研究の結果から示唆されるのは、cps-6は父親の精子の自滅開始に重要な役割を果たしており、その胚に利益をもたらしている可能が高いということである。

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