Public Release: 

ネアンデルタール人と古代のヒトの新しいゲノムによりヒトの進化について解明が進む

American Association for the Advancement of Science

古代人のゲノムについての2つの新しい研究により、私たちの祖先や祖先の親戚であるネアンデルタール人の生活の解明に貴重な手掛かりが得られた。1つ目の研究では新たにネアンデルタール人女性のゲノムの配列が決定された。これほどの質の高さで完全に配列を決定されたネアンデルタール人のゲノムは今回でわずか2つ目である。この科学的進歩によってネアンデルタール人についての多数の説に裏付けが得られ、それと同時にネアンデルタール人の現代の人類への遺伝子的関与も新たに明らかになった。ネアンデルタール人は全ての現代人にとって進化的に最も近い親戚であり、それゆえにネアンデルタール人からはヒトの生物学と歴史について独自の視点が得られる。今日までに配列決定されたネアンデルタール人のゲノムは5つだが、そのうち質の高いデータが得られたのはシベリアで発見された「Altai Neandertal」として知られている1つのみで、クロアチアのVindija洞窟で発見された3つのゲノムとロシアのMezmaiskaya 洞窟で発見された1つのゲノムはそれほど明確ではない。Kay Prüferらは今回クロアチアの洞窟で新たに発見されたネアンデルタール人から採った数十億のDNA断片の解析に成功した。これは約52,000年前に生きていたネアンデルタール人女性でVindija 33.19と呼ばれる。これまでの研究結果と同様に、その遺伝子データによりネアンデルタール人は約3,000人の孤立した小集団で生活していたことが示された。これまでに配列決定されたAltai NeandertalのゲノムからAltai Neandertalの親は半同胞であることが判明しており、そこからネアンデルタール人は一般的に家族内で交配していたのではないかと推測されていた。しかし今回の新しいVindijaのゲノムからはそれと同様の近親交配は見られなかった。したがってAltai Neandertalの親同士の極端な近親交配はネアンデルタール人では一般的ではないと考えられる。ただ実際はVindija 33.19と配列決定されたクロアチアの洞窟から発見された他の3つの個体のうちの2つとは母方の祖先が共通しているようである。PrüferらはVindija 33.19のゲノムを用いてネアンデルタール人、デニソワ人、現生人類の間での分岐と遺伝子流動についても分析を行った。多数の分析結果の中から、クロアチアとシベリアのネアンデルタール人が分岐する前、130,000~145,000年前に初期の現生人類からネアンデルタール人への遺伝子流動があったとPrüferらは報告している。Prüferらは今回の新しい質の高いゲノムを基に、アフリカ人を除く現代人は1.8~2.6%のネアンデルタール人のDNAを持っていると推測している。これは1.5~2.1%という過去の推測よりも高い数値である。最後にPrüferらは、現代の人類に影響を及ぼしたネアンデルタール人のゲノムの遺伝子変異を新たに多数特定した。たとえば、LDLコレステロールやビタミンDの血漿中濃度、摂食障害、内臓脂肪の蓄積、リウマチ性関節炎、統合失調症、抗精神病薬への反応に関係する遺伝子変異である。

Martin Sikoraらによる2つ目の研究では、ロシアのSunghir 墓地遺跡で発見された解剖学的には現生人類の古代人4人のゲノムに焦点が当てられ、そのゲノムにより後期石器時代のヒトの社会組織について貴重な情報が得られた。発見された古代人は全て約34,600~33,600年前のどこかの時期に生きていた男性で、互いに関係はなかった。さらにAltai Neandertalで見られたような近親交配の形跡も見つからなかった。これらの人々の遺伝的多様性を考えると、小規模な遺伝的集団の一員であったにもかかわらず、彼らは自分たち狩猟採集民一族以外と交配していた可能性があるとSikoraらは指摘している。また、彼らのゲノムがネアンデルタール人のゲノムと同等であり、混ざり合った経緯についても強調している。

###

Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.