Public Release: 

酸化グラフェンナノシートを重ねて熱するだけでシート間に“圧力”が発生することを発見

Kumamoto University

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IMAGE: 酸化グラフェンナノシートは熱処理によって層間距離を縮めると、非常に高い圧力がかかる。1Å=0.1nm=0.0000001mm。1Mpa=×106Pa。ナノシート1枚の厚みは1nm前後。 view more 

Credit: Assistant Professor Ryo Ohtani

グラフェンは原子1つ分の厚みしかない炭素のシートで、新しい材料として世界中で注目されています。研究者らは、グラフェンによく似た“酸化グラフェン”ナノシートを重ねるだけで、シート間に圧力が発生することを発見しました。熱処理により層間距離を縮めると、より高い圧力がかかることもわかりました。膨大なエネルギーを使わずに高い圧力をかけることができる画期的な手法として期待されます。

2010年のノーベル物理学賞は、グラフェン開発に尽力した2人の科学者に贈られました。非常に薄い上に強くしなやかで、電気伝導力が高いことで注目される炭素材料です。酸化グラフェンナノシートは、このグラフェンの表裏にたくさんの酸素官能基をもつ物質です。酸化グラフェンナノシートを何層にも重ねて熱処理を行うと、酸素官能基の脱離に伴って層間距離が縮むことが知られています。

今回、研究者らは、この酸化グラフェンナノシートの層間距離を縮めることで、シート間に挟まれた物質に圧力を加えるコンプレッサーとして利用できるのではないかと着想し研究を行いました。シート間の圧力の測定には、圧力に応答して金属イオンの電子状態が変わる(スピンクロスオーバー現象)分子材料を利用しました。スピンクロスオーバー現象を示す鉄材料のナノ粒子を酸化グラフェンナノシート間に挟み、電子状態変化について観測したところ、以下の知見を得ました。

    ・層間距離が短くなるほどシート内圧力が上昇する。すなわち、熱処理温度により、得られる圧力値を調節することができる。

    ・最大圧力は、38×106 Pa (大気圧=101300 Paのため約375気圧!)

    ・きちんとシートが重なっていないと圧力は発生しない。

研究を主導した熊本大学の大谷亮助教は次のようにコメントしています。

「これまでにも、本研究と似た、挟む(あるいは、包む)だけで圧力がかかる特殊な材料の報告例は数例ありました。しかし、加える圧力を“熱処理温度”という簡単な方法で調節可能な物質は酸化グラフェンナノシートが世界で初めての例になります。今後は“ナノコンプレッサー”としての応用により、通常は大きなエネルギーを加えないと得られない高圧状態の機能性発現など、材料化学、物理学の両面からの展開が期待されます。」

本研究成果は科学雑誌「Scientific Reports」に2017年9月22日掲載されました。

[Resource]

Sekimoto, Y., Ohtani, R., Nakamura, M., Koinuma, M., Lindoy, L. F., & Hayami, S. (2017, September 22). Scientific Reports. Tuneable Pressure Effects in Graphene Oxide Layers | Scientific Reports. doi: 10.1038/s41598-017-12444-x

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