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洞窟壁画によりネアンデルタール人が象徴的思考のできる芸術家であったことが判明

American Association for the Advancement of Science

ヨーロッパで発見された最古の洞窟壁画は初期現生人類の推定登場年代より少なくとも20,000年前のものであり、このことはこの壁画を描いた芸術家が現生人類の親戚である絶滅したネアンデルタール人であったことを示している。Scienceに掲載された研究では、これはネアンデルタール人が洞窟壁画を作製していた初の明確な証拠だと報告している。また染色と装飾が施された海の貝殻も発見され、これらも既に判明しているこの地域での人類の登場より古い物であったことがScience Advancesに掲載された研究で強調されている。Scienceの研究ではDirk Hoffmannらが、複数の洞窟壁画がネアンデルタール人の手によって作製されたことが示唆されたと述べている。しかし、これらの壁画の年代とこれらに何らかの意図があるかどうかは依然として論議を呼んでいる。Hoffmannらは今回、スペインにある3つの洞窟、ラ・パシエガ(La Pasiega)、マルトラビエソ(Maltravieso)、アルダレス(Ardales)で同位体試料を分析した。そこには主に赤と黒で描かれた動物、線、鉤形、点、そして手のステンシルまであった(Hoffmannらによると、完全な手形は偶然の産物の可能性があるが、手のステンシルは明らかに意図的な芸術だという)。Hoffmannらは壁画の作製年代の推定幅をより正確に決定するために、壁画表面の上下双方の炭酸塩を分析する年代決定技術を使った。3ヵ所の洞窟壁画で最古の壁画の年代は一貫して最低でも約64,800年前もしくはそれ以前と決定された。化石証拠からその時期のヨーロッパではネアンデルタール人が唯一のヒト族であったことが示されているため、壁画の作製者はネアンデルタール人ということになるとHoffmannら述べている。Hoffmannらによると、初期の現生人類がヨーロッパに登場したのはそれよりもっと遅く、45,000~40,000年前だという。アルダレス洞窟では様々な壁画の年代が25,000年間に及んでおり、これは壁画の作製が一度限りの流行ではなく、長期的な伝統であることを示唆しているとHoffmannらは報告している。

Science Advancesに掲載された別の研究では、Hoffmannらがスペインのまた別の洞窟キュエヴァ・デ・ロス・アヴィオネス(Cueva de los Aviones)で発見された穴が開き染色された海の貝殻について述べている。これも初期現生人類がヨーロッパに登場したと考えられている時期よりかなり古いものである。「価値」を割り当てられた芸術品は情報の伝達と、それゆえに言語の存在を暗示することから、象徴的物質主義の出現は私たちの種の進化における重要な局面であるとHoffmannらは述べている。しかしこれまでに発見されている最も古い象徴的芸術品はアフリカで発見された推定約92,000年前の物で、それは初期現生人類が作製したものだと考えられている。Hoffmannらはキュエヴァ・デ・ロス・アヴィオネスで堆積物と同位体のデータを用いて貝殻と赤と黄色の顔料で染められた貝殻の容器の年代を決定した。その結果、分析を行った4つの試料のうち2つは約115,000年前のものだと判明した。もう一度述べるが、これは既に判明しているこの地域での初期現生人類の登場時期よりかなり早い。これらの発見、つまり洞窟壁画と装飾が施された芸術品から、ネアンデルタール人が初期現生人類と共通するような象徴的思考を行っていたことに疑問の余地はない。したがってHoffmannらは、象徴的思考能力は共通の祖先から受け継がれたものと考えられるとしている。

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