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私たちは幼い頃から「同じだけもらう」より「持っている量が同じになる」分け方が好き!

Kobe University

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IMAGE: 図1. 試行の流れ: 赤い丸は赤いビー玉(くじの結果、参加者かパペットのどちらかが事前に持つ物資)を、黒い丸は青いビー玉(新しく分配される物資)を、白い丸と四角はお皿を表す。 view more 

Credit: Kobe University

神戸大学大学院人間発達環境学研究科の林 創(はやし はじむ)准教授は、幼児(5~6歳)と大人を対象に、私たちがもつ「平等な分配への好み」を深める調査を実施し、幼い頃から「分け方が同じになる分配への好み」よりも「結果が同じになる分配への好み」が強いことを明らかにしました。

本研究成果は、2018年1月26日に、国際学術雑誌「European Journal of Developmental Psychology」に掲載されました。

研究の背景

限られた物資をいかに分配するかは、人間の社会性や道徳性に直結する重要な問題です。これまでの発達心理学の研究から、幼児期の5~6歳頃に、子どもは不平等な分配(自分の方が多い、もしくは相手の方が多い)よりも、平等な分配(相手も自分も同じ)を好むようになることが明らかになっています。しかし、これらの知見では、自分と相手の二者とも何もない状態から分配が始まるため、「平等な分配」への好みが「分ける数量が同じ」ことへの好みを意味するのか、それとも「結果が同じ数量」への好みを意味するのか不明です。

そこで本研究は、あらかじめ二者のどちらかだけが物資を持つ状況を作り出すことで、幼児と大人が、「結果が同じ分配」(既に一方が持つ数量を考慮して、結果が同じになるように分ける)と「分け方が同じ分配」(既に一方が持つ数量を考慮せず、配分が同じになるように分ける)のどちらに好みを示すのか、を明らかにすることを目的として実施しました。

研究の方法

  • 参加者

    5~6歳の幼児24人と大人(大学生)34人を分析対象としました。

  • 方法

    あらかじめ、飴玉が好きなことを確認し、ビー玉を飴玉とみなしてくれることを確認した後に、参加者とパペット2体で、ビー玉の分配方法など条件を変えながら調査を行いました。詳細な課題と手続きは次のとおりです。

  • 課題と手続き

Phase1:「事前に一方が持つ物資(赤いビー玉)」の操作:

 

くじ箱を用い、参加者に抽選でビー玉を獲得してもらいます。くじ箱のしかけにより、参加者が2個×2セットの赤いビー玉を獲得する「参加者条件」、あるいは、2つのパペットの各々が2個の赤いビー玉を獲得する「パペット条件」に分かれるようにしました。各条件は3回ずつ(計6試行)割当たるようにしました。(図1 Phase1)

Phase2「新たな物資(青いビー玉)」の分配:

 各試行で、2体のパペットにそれぞれ新たな物資(青いビー玉)を分配させます。

 一方のパペットには、パペット自身と参加者に「結果が同じ分配(EO; equal-outcome)」になるように青いビー玉を分けさせました(たとえば、参加者条件では、8つの青いビー玉を、パペット自身が5つ、参加者が3つになるように分配し、結果的に5つと5つで同じ数にしました)。  次に、もう一方のパペットには、パペット自身と参加者に「分け方が同じ分配(EA; equal-allocation)」になるように青いビー玉を分けさせました(たとえば、参加者条件では、参加者が既に持っている2つの赤いビー玉を考慮せずに、6つの青いビー玉をパペット自身も参加者もともに3つずつ均等に分配しました)。

最後に、調査者は、「どちらの分け方が好きか?」と参加者に尋ねました。

6試行中2試行は、どちらの分配でも参加者の取り分は同じである「コスト無し」、2試行は「結果が同じ分配(EO)」を選ぶと「分け方が同じ分配(EA)」を選ぶときよりも参加者の取り分が少なくなる「コスト有り-EO」、残りの2試行は「分け方が同じ分配(EA)」を選ぶと「結果が同じ分配(EO)」を選ぶときよりも参加者の取り分が少なくなる「コスト有り-EA」としました。(図1 Phase2)

・結果と考察

 「コスト無し」試行では、参加者条件とパペット条件でともに、大人も幼児も多数が「結果が同じ分配(EO)」の方を選びました。ただし、幼児の場合、事前に自分が多く持つ参加者条件では、「分け方が同じ分配(EA)」を選ぶ割合がパペット条件の時よりも高くなりました。また、大人も幼児も、「結果が同じ分配(EO)」を選ぶと自分の取り分が少なくなる「コスト有り-EO」試行を含めて、全ての条件で「結果が同じ分配(EO)」の選択率が50%を上回りました。

もし分配に好みの差がないのであれば、「結果が同じ分配」と「分け方が同じ分配」はどちらも同じ選択割合になるはずです。ところが、このように大人も幼児もすべての条件で、「結果が同じ分配」を選択したことから、人間の多くは結果が同じになる分配を好むことが明らかになりました。同時に、先行研究での「平等分配への好み」とは、「結果が同じ分配への好み」のことを指していたことが判明しました。

今後の展開

物資の分配は、すべての被分配者が手元に何もない状態から常に始まるわけではありません。一部の人が既に何らかの物資を持っている状態から、新たな物資の分配をしなければならないことも頻繁にあります。本研究は、そのような状況で、幼児(と大人)がどのような心理状態を抱くのかを示すものと言えるでしょう。一部の人だけが物資をもっている状況で、新たな物資を均等に分配する際には、分配者はそれなりの説得力のある説明を用意すべきである、ということが示唆されます。このことは、個人間だけでなく、組織やコミュニティ、国レベルでも当てはまる可能性が考えられます。

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