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リン脂質の移動によって細胞膜が変形するメカニズムを解明

ウイルス・細菌の細胞への侵入を制御の可能性

Kyoto University

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IMAGE: 細胞膜の2層のリン脂質膜の間におけるリン脂質の量を変化させることによって、細胞膜の形態を変えられることを明らかにしました。 view more 

Credit: Kyoto University / Tomoki Shimizu / Shin Lab

細胞膜は2層のリン脂質膜で構成され、細胞の機能を維持するために常に流動的に動いています。特に、正常細胞およびがん細胞が移動する時、細胞外の栄養を取り込む時、ウイルスや細菌などが細胞内に侵入する時に、細胞膜は大きく形を変化させます。このような細胞膜の形態変化には様々なタンパク質や細胞骨格タンパク質の調節が必須であることがよく知られていますが、細胞膜を構成するリン脂質が膜の形態変化に直接関与するかどうかは分かっていませんでした。

 

本研究は、細胞膜の2層のリン脂質膜の間におけるリン脂質の量を変化させることによって、細胞膜の形態を変えられることを明らかにしました。具体的には、細胞膜の外側に多いリン脂質であるホスファチジルコリンの内側への移動を促進することで、内側のリン脂質の量が外側よりも多くなると、細胞膜の形態が内側へ変化することを間接的に示しました。

 

本研究では、任意のタイミングで膜を管状化するBARドメインのタンパク質を細胞膜に呼び寄せる実験系をもちいました。細胞膜が内側へ変形すると、このタンパク質によって膜の管状化が起こることを利用しました。ホスファチジルコリンを細胞膜の外側から内側へ移動させるフリッパーゼの一つであるATP10Aタンパク質を細胞に発現させて、膜を管状化するBARドメインのタンパク質を細胞膜に呼び寄せると、細胞内にたくさんの管状構造が現れることがわかりました。一方で、酵素活性を持たないATP10A変異体を発現させると、同じ条件でも細胞内に管状構造は形成されませんでした。

 

以上の結果から、細胞膜の外側と内側のリン脂質の量の変化によって細胞膜の形態が変化する可能性が示されました。さらに、ATP10Aタンパク質の発現によって細胞内に多くの管状構造が現れることで、細胞膜タンパク質の細胞内への取り込みを促進することもわかりました。

本研究成果は、細胞膜を構成するリン脂質が細胞膜の形態変化に直接関与していることを実証した初めての成果です。細胞膜の脂質二重層間のリン脂質の動態を調節することで、細胞の移動、栄養の取り込み、ウイルスや細菌などの侵入を制御できる可能性が示されたと言えます。

 

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本研究成果は、2018年3月29日に欧州分子生物学機構の国際学術誌「The EMBO Journal」オンライン版に掲載されました。

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