Public Release: 

ポリユビキチン鎖形成の可視化に世界で初めて成功

― K33型ポリユビキチン鎖もオートファジーに関与する ―

Tokyo Medical and Dental University

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IMAGE: Generation of PolyUb-FC: a useful tool for atypical polyubiquitin chain analysis. view more 

Credit: Gastroenterology and Hepatology,TMDU

東京医科歯科大学医学部附属病院消化器内科の大島茂医学部内講師、同・渡辺守教授らの研究グループは、大阪大学大学院医学系研究科細胞応答制御学中田慎一郎教授グループとの共同研究で、ポリユビキチン鎖の動的可視化に世界で初めて成功しました。この技術を応用しK33型ポリユビキチン鎖がオートファジーに関与することを明らかにしました。この研究は文部科学省科学研究費補助金、厚生労働科学研究費補助金難治疾患克服事業の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Autophagyに、2018年1月24日(南米時間)にオンライン版で発表されました。

【研究の背景】

ユビキチンは、76アミノ酸からなる真核生物に高度に保存されたタンパク質です。ユビキチン修飾系は、このユビキチンをタンパク質に付加することにより、細胞内での機能を制御する翻訳後修飾系と言われています。ポリユビキチン鎖は8種類あり、K48型ポリユビキチン鎖はプロテアソームによる分解、K63型ポリユビキチン鎖はタンパク質と相互作用してシグナル伝達やDNA修復など、直鎖状ポリユビキチン鎖は NF-κBの活性化などに関わっています。しかしながら‘Atypical’と言われているK29型やK33型等による、タンパク質機能制御の詳細や生体における意義は未だ明らかにされていませんでした。 ポリユビキチン鎖が重要な機能を果たしている生命現象の一つに、オートファジーがあります。細胞に侵入した病原細菌に壊されたendosome膜、損傷を受けたオルガネラ、変性タンパク質凝集体(アグリソーム)などの標的基質がユビキチン鎖で標識されます。ユビキチン鎖で標識された基質は、受容体(p62やNBR1など)を介して隔離膜上に局在するLC3などと結合し、最終的にオートファゴゾームに捕捉され分解されます。認識されるポリユビキチン鎖としてはK63型やK27型などが報告がされていましたが、ポリユビキチン鎖がいかなる特異性や選択性をもって受容体と結合し、分解されるかの全体像は明らかではありませんでした。

【研究成果の概要】

K27 型、K29 型、K33 型等の修飾によるタンパク機能制御の詳細や生体における意義は未だ明らかとされていません。そこで、本研究では、ポリユビキチン鎖を検出する手法の開発に取り組み、蛍光タンパク質再構成法(BiFC法)を用いることにより、K63型だけでなくK33 型ポリユビキチン鎖の動態をリアルタイムで追跡可能な独自の手法を世界で初めて確立しました(PolyUb-FC)。この技術(PolyUb-FC)を用いて、 K33型ポリユビキチン鎖がp62を介してLC3と共局在すること、この共局在がK33鎖特異的脱ユビキチン化酵素TRABIDにより制御されることを明らかとしました。

【研究成果の意義】

この技術(PolyUb-FC)を応用し、今まで未知であったポリユビキチン鎖の機能を明らかにすることができます。ユビキチン鎖の鎖特異的機能に新しい知見を提供するのみならず、制御因子や制御低分子化合物のスクリーニングなどへの応用が可能となります。応用の検討の一例として、オートファジーにおけるポリユビキチン鎖解析を行い今まで未知であったK33鎖とオートファジーの関連を明らかとし、今後はユビキチン化の制御によるオートファジーを介した新しい治療戦略の確立が期待されます。

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【用語説明】

※1 ユビキチン

ユビキチン修飾系は翻訳後のタンパク質修飾系の一つです。ユビキチン修飾系は、修飾されたタンパク質の分解に留まらず、シグナル伝達など多様な役割を果たすことが明確となっており、オルガネラ上でユビキチン化(1つ修飾するモノユビキチン化あるいは重合して修飾するポリユビキチン化)が様々な細胞現象や生体応答において役割を果たしています。ユビキチン分子内に7個存在するリジン(K6、K11、K27、K29、K33、K48、K63)、およびN末端のメチオニン(M1)を介した8種のユビキチン間結合が報告されており、細胞内にはこれらの多様な構造を持つポリユビキチン鎖が存在することが知られています。

※2 オートファジー

細胞内の大規模な分解機構であり、不要なタンパク質などを分解することで細胞内恒常性を維持しています。ほ乳類において、飢餓適応、着床前の初期胚発生、細胞内浄化、神経変性抑止、腫瘍発生抑制などに重要であることがわかっています。

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