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カーボンナノチューブ内にリチウムイオン電池電極材料を詰め込む

リン内包カーボンナノチューブを用いた高容量リチウムイオン電池電極の電気化学特性評価

Toyohashi University of Technology

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赤リンをリチウムイオン電池(LIB)電極材料に用いた場合、現行のLIB電極に使用されているグラファイトに比べて約7倍の充放電容量を示す可能性があるため、赤リンは高容量LIB電極材料として注目を集めています。グラファイトの場合、6個の炭素原子が1個のリチウムイオンを吸蔵しますが、赤リンの場合、1個のリン原子が3個のリチウムイオンを吸蔵できます。このリチウムイオン吸蔵量の差から、赤リンを用いたLIBは高容量化を達成できることが考えられます。しかし、赤リンはその分、リチウムイオンの吸蔵・放出による体積変化が大きく、繰り返し充放電反応を生じると赤リン粒子の亀裂・剥離・脱落が起こります。その結果、充放電反応に寄与する赤リン粒子の量が減少してしまい、電池容量の急激な低下が問題となります。また充放電反応時に電極では電子のやり取りも生じますが、赤リンが電気を流しにくい性質(絶縁体)であるため、エネルギーロスが大きいことが問題となります。

そこで東城友都助教らの研究グループは、図1(左)に示すように、赤リン粒子の亀裂や剥離に伴う粒子脱落を抑止するために、カーボンナノチューブ(CNT)の中空孔に赤リンを詰め込んだ構造を持つ材料を合成しました。電気を流しやすいCNTは、赤リン粒子の電気的弱点を補う働きも担います。電池として充放電させる際に、リチウムイオンの移動を円滑にして、赤リンの電気化学反応性を向上させるために、図1(右)のように予めCNTの側壁にナノサイズ(<5 nm)の孔を形成しても、図1(左)の分析画像からCNTの中空孔に赤リンが安定に存在することも確認できました。

 この材料をLIB電極に適用することで、50回の充放電試験においても、図2(左)の通り、約850 mAh/gの可逆容量が得られ、グラファイトの2倍以上の容量を示しました。また図2(右)に示す通り、10回の充放電試験以降、充放電効率(クーロン効率)は99%以上の高い値を示し、充放電反応の可逆性が高いことがわかりました。しかし、充放電を繰り返し行うと、充放電容量が徐々に低下していきました。この原因として、赤リン粒子が劣化していることや、副反応に電荷が消費されていることが考えられます。ただし、側壁に孔を開けていないCNTに赤リンを埋め込んだ電極よりも、赤リンの電気化学反応性が向上し、格段に充放電性能が向上していることが判明しました。また図1(左)と同様に、充放電後にも赤リン粒子がCNTの中空孔に存在している様子が観察され、赤リンの構造安定化を達成できました。

 本研究では高容量LIB電極材料として、CNTの中空孔に赤リンを埋め込んだ構造を提案しましたが、実用時において充放電反応を長期間繰り返す場合には、更なる電極構造の改質が必要です。今後も、このような高容量LIB電極材料の研究を引き続き進めていく予定です。

ファンディングエージェンシー:本研究は公益財団法人 村田学術振興財団、公益財団法人 立松財団、公益財団法人 中部科学技術センターの支援を受けて遂行されました。

研究者情報: http://researchmap.jp/tj1010/?lang=english

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論文情報:Tomohiro Tojo, Shinpei Yamaguchi, Yuki Furukawa, Kengo Aoyanagi, Kotaro Umezaki, Ryoji Inada, and Yoji Sakurai, Electrochemical Performance of Lithium Ion Battery Anode Using Phosphorus Encapsulated into Nanoporous Carbon Nanotubes. Journal of The Electrochemical Society, 165(7), A1231-1237 (2018).

Digital Object Identifier (DOI): 10.1149/2.0351807jes

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