Public Release: 

空間の共有:脳は相手のそばの空間も自分のそばの空間と同じように認識している

Kumamoto University

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IMAGE: 実験では、(a)触覚のみ、(b)視覚のみ、(c)視覚と触覚の相互(視触覚)の3種類の刺激を使用しました。(d)パートナーが実験に参加する場合、被験者とパートナーは向かい合って立ち、実験装置の方に頭を向けて視界距離を一定に保ちます。(d、e)テーブル表面には、位置を固定した点(凝視点)と移動する円がプロジェクタで投影されます。(e)被験者には人差し指に振動刺激を発する装置を取り付け、いずれかの刺激を検出したときに応答ボタンを押すように指示しました。 Image is a combination of figures 1 and 2 from Teramoto 2018 and is licensed under CC BY 4.0... view more 

Credit: Dr. Wataru Teramoto

身体のすぐそばの領域はペリパーソナルスペースと呼ばれ、人の脳は周囲の人や物との相互作用にとって重要な空間として特別な処理をしています。霊長類の脳では、他人のペリパーソナルスペースが侵された時に、あたかも自分のペリパーソナルスペースが侵されているかのように反応するニューロンがあることが近年の研究によって明らかになっています。熊本大学の寺本渉教授は、この「ペリパーソナルスペースの再マッピング」現象が人間の行動にどのように影響するかを調べるため、相手がいる時といない時それぞれにおける視覚刺激や触覚刺激に対する反応を調査しました。その結果、被験者はパートナーのペリパーソナルスペースの刺激に対し、自分自身にするように素早く反応することを発見しました。

実験では、触覚のみ、視覚のみ、視覚と触覚の相互(視触覚)の3種類の刺激を使用しました。被験者には、「1.左の人差し指への振動刺激、2.目の前のテーブルに投影した動く円形マークの色の変化(白色から緑色)、3.1と2両方」の3種類の刺激のいずれかを感じたら、できるだけ早く右手でボタンを押すように指示しました。上記の実験を被験者単独、被験者とパートナー、被験者とゴム製の偽物の腕の3パターンで行いました。視覚刺激は被験者のペリパーソナルスペースの内側か外側のいずれかに現れ、外側の場合はパートナーのペリパーソナルスペースに現れることになります。

寺本教授は次のようにコメントしています。

「ペリパーソナルスペースの再マッピングが必然的に起こる現象であるなら、被験者のそばで被験者に接近する刺激とパートナーのそばでパートナーに接近する刺激とで被験者の反応は似ているはずです。今回の調査結果データは、ペリパーソナルスペースの再マッピングを強力に裏付けるものとなりました。」

実際、被験者とパートナーに面識があるかどうかにかかわらず、被験者はパートナーや自身の方に刺激が近づいてきた時には、パートナーなしで刺激が遠ざかった時よりも素早く反応しました。また、パートナーの代わりに偽物の腕が使われた時には再マッピング効果がないことが示されました。さらに、被験者やパートナーが違う身体部分を使った場合でも再マッピング効果が見られました。

脳は、私たちに何かが近づいている時にそれを自分自身に対して示すことができるだけでなく、他人に起こっている時にも同じように私たちに知らせることができるようだと、寺本教授は言います。「今後、遠ざかる刺激に対して距離がどう影響するのか、刺激が動く方向によって違いはあるのかなどの課題点についてさらに明らかにしていきたいと考えています。」

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本研究成果は「Scientific Reports」に平成30年4月3日掲載されました。

[Source]

Teramoto, W. (2018). A behavioral approach to shared mapping of peripersonal space between oneself and others. Scientific Reports, 8(1). doi:10.1038/s41598-018-23815-3

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