Public Release: 

がん細胞のカルシウムイオンをターゲットにしたパルス電界の最適化に成功

Kumamoto University

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0.27 kV/cm~1.8 kV/cmにおける50ミリ秒の電界蛍光画像。 左側が接地側(陰極)で右側が高電圧印加側(陽極)。 スケールバー:100 μm

Reprinted by permission from Springer Customer Service Centre GmbH: Springer Nature, Drug Delivery and Translational Research, Spatio-temporal dynamics of calcium electrotransfer during cell membrane permeabilization,... view more 

Credit: Dr. Hamid Hosseini

がんに対する治療方法は種々様々あり、世界中の研究機関で日々研究されています。熊本大学パルスパワー科学研究所では、がんの治療法としてカルシウムイオンの電機移動に着目した研究が実施されています。

パルス電界は、DNAや薬剤の体内輸送から水中における微生物の除去まで、生物学分野でも多く応用されています。パルス電界をがん治療に応用する研究はこれが初めてではありませんが、パルス電界が細胞に与える影響については明らかにされていませんでした。今回、熊本大学パルスパワー科学研究所の研究グループは、カルシウムイオンに対する細胞膜の透過性を高めるための最適なパルス電界条件を特定しました。この手法はがん細胞がカルシウムイオンの異常な流入に対して特に敏感である特性に着目したもので、コストや副作用を抑えられることから新たながん治療法への応用が期待されます。

本研究では、HeLa S3細胞におけるカルシウムイオン取り込み量を、カルシウムイオン(Ca2+)蛍光を介して調べました。実験では、照射するエネルギー量は一定のままパルス電界数だけを変えることで、エネルギーのトータルの影響ではなく電場変化の影響のみを評価しました。その結果、細胞膜の孔が完全に閉じるには時間がかかるため、パルスパワー照射が終了した後も膜の透過性は短時間続くことが判明しました。つまりパルスパワー照射後も短時間ですがさらに細胞内にカルシウムイオンを拡散できるのです。

実験した4つの電場のうち、2つの大きな電場(1.8 kV/cmおよび1.26 kV/cm)では、最初の10ミリ秒間に高いカルシウムイオン取り込み率を記録し、その後大幅に減少しました。一方で、小さい方の電場(0.63 kV/cmおよび0.45 kV/cm)では最初の10ミリ秒間にカルシウムイオンの取り込みは検出されず、その後徐々に増加しました。この2つの電場の変化は互いに非常に似通ったものでした。

研究を主導したHamid Hosseini教授は次のようにコメントしています。「私たちの研究で、インビトロ試験における最適なパルス電界レベルは1kHzあたり100パルスの0.45 kV/cmであることが判明しました。この設定であれば、正常細胞に対しては致命的にならず効果的にがん細胞を攻撃できるはずです。この実験結果がはたして生体内でも有効かどうかを明らかにするにはまだまだ多くの検討が必要ですが、本手法が有望ながん治療に繋がることを期待しています。」

本研究成果はオンラインジャーナル「Drug Delivery and Translational Research」に2018年5月11日に掲載されました。

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[Source]

Guionet, A., Moosavi Nejad, S., Teissié, J., Sakugawa, T., Katsuki, S., Akiyama, H., & Hosseini, H. (2018). Spatio-temporal dynamics of calcium electrotransfer during cell membrane permeabilization. Drug Delivery and Translational Research. doi:10.1007/s13346-018-0533-5

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