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PON1遺伝子の収斂的喪失で現代の海洋哺乳類は危険にさらされている

American Association for the Advancement of Science

海洋哺乳類の祖先系統全般における古代の遺伝子機能喪失によって、現生海洋哺乳類は毒性のある有機リン酸エステルから身を守ることができなくなり、今、危険な状態にあると考えられる。新しい研究によると、海洋哺乳類種では海洋生息環境への進入の際にパラオキソナーゼ1(PON1)遺伝子の収斂的喪失が起こり、多数の海洋哺乳類種がこういった神経毒性物質を分解するメカニズムを失ったという。陸生動物は海に戻ってから何百万年もの時間をかけて環境に適応すべく変化し、海にコロニーを作ることができるようになった。海洋哺乳類の多数の様々な系統でいくらかの生理学的および形態学的変化が同様に起きた。たとえば、クジラやアザラシ、カイギュウでのひれ足の収斂的発達である。また環境の変化は非適応収斂的形質喪失につながる場合もあり、海洋哺乳類特有の祖先である陸生動物の形質は新しい水中生息環境では機能しなくなった。しかし遺伝子の中には、潜在的に無関係な複数の形質に影響を及ぼし、変化する環境下で予想外の結果をもたらしたものもある。Wynn Meyerらは、海洋哺乳類種における祖先の海洋環境への移行に関係する遺伝子機能の収斂的喪失についてゲノム規模で調査を実施し、遺伝子PON1で特筆すべき収斂的喪失のパターンを発見した。PON1は、3つの海洋哺乳類系統(クジラ目、ひれ足類、カイギュウ類)の全てで個々に機能を喪失していたが、陸生哺乳類のゲノムでは機能喪失はみられなかった。PON1の喪失は脂肪酸酸化におけるその役割に関係すると考えられるとMeyerらは述べている。また海洋哺乳類にとってPON1は、多用される農薬クロルピリホスに含まれる極めて毒性の高い有機リン酸化合物に対する唯一の防御機能でもある。したがって今回の研究結果は、有機リン系農薬を含む農業排水の近くに生息するマナティーやジュゴンといった海洋哺乳類に潜在的な健康リスクがあることを明確に示している。

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