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人工知能が専門家の約2万倍の速さでスペクトルを解釈

~知識や職人技なしで、物質の性質を明らかに~

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

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IMAGE: 本研究のイメージ図。2本の木(樹形図)がスペクトルを吸い上げ、お互いに情報を交換しあいながら、解釈の実(リンゴ)を咲かせる。 view more 

Credit: 2018 Teruyasu Mizoguchi, Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

東京大学 生産技術研究所の溝口 照康 准教授、清原 慎 大学院生、宮田 智衆 大学院生(当時)、東京大学大学院 新領域創成科学研究科の津田 宏治 教授らの研究グループは、物質解析に広く利用されるスペクトルを、人工知能で「解釈」と「予測」する新手法を開発しました。

物質開発では、さまざまな分光法でスペクトルが測定されています。たとえば、電子顕微鏡やX線を使った内殻電子励起分光法は、高い空間分解能と時間分解能で原子配列と電子構造を調べることができ、半導体設計や電池開発、触媒解析に広く利用されてきました。最近では、測定技術の向上により空間分解や時間分解したスペクトルの測定を容易に実施でき、一度の測定で、数千から数万の実験スペクトルを取得できるようになっています。

一方、そのようなスペクトルを「解釈」し、原子配列や電子構造の情報を獲得するには、研究者が専門知識を使って高度なスペクトルの理論計算を実施し、その結果を職人技で解析する必要があります。内殻電子励起スペクトルの理論計算には、数時間から数日を要し、膨大な数のスペクトルを理論計算で解釈することは、現実的に不可能です。

そのような旧来の「研究者駆動型」のスペクトル解釈の限界を乗り越えるために、本研究グループは人工知能で用いられている機械学習法を利用しました。今回開発した手法では、「物質情報の樹形図」と「スペクトルの樹形図」という、2つの樹形図(2本の木)を使います。お互いに相関した2本の木を利用することで、高速かつ高精度に内殻電子励起分光スペクトルの「解釈」ができる手法の開発に成功しました。また、本手法を使えば、物質の構造情報を入力することで、スペクトル形状を「予測」することも可能です。

本手法のイメージを図に示します。2本の木(樹形図)がスペクトルを吸い上げ、お互いに情報を交換しあいながら、解釈の実(リンゴ)を咲かせることができます。

本手法により、専門の知識がなくても物質を高速かつ高精度に解析することが可能になると期待できます。

本研究成果は平成30年9月6日(英国夏時間午前10:00)に英国Nature Publishing Group発行の「Scientific Reports」オンライン版に掲載されます。

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