Public Release: 

「 咽頭扁桃、口蓋扁桃の成長曲線が従来の概念と異なることを発見 」

扁桃肥大患者に対する新たな診断基準の構築

Tokyo Medical and Dental University

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IMAGE: Abbreviations: Aa, anterior medial point of the atlas; AAL, anterior atlas line (line perpendicular to the palatal line registered on the anterior medial point of the atlas); ANS, anterior nasal... view more 

Credit: Department of Orthodontic Science,TMDU

 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 咬合機能矯正学分野の小野卓史教授、石田宝義助教、間邊安寿雅研究員、楊 新晟大学院生、尹 炯植研究員(現 All Barun Dental Clinic 院長)、川崎医科大学 医学部 神田 英一郎学長付特任教授らの研究グループは、日本人における咽頭扁桃、口蓋扁桃のサイズの標準値を年齢区分ごとに計測し、成長曲線を導き出しました。

この研究成果は、国際科学誌 Scientific Reports に、2018 年 11 月 20 日午前 10 時(英国時間)にオンライン版で発表されます。

【研究の背景】  

約 80 年前 Scammon らは人体における成長曲線をリンパ型、神経型、一般型、生殖型の 4 種類に分類した。この成長曲線は様々なジャンルで今も尚頻繁に使用されており世界中の教科書に引用されている。その中でScammon らは、「リンパ組織では成人を 100%とすると、幼少期に約200%まで過成長した後、成人に近づくにつれてサイズが 100%に減少していく」と報告している。我々はその報告をもとに「リンパ組織の一つである咽頭扁桃や口蓋扁桃は他のリンパ組織と同様に一度肥大し成長と共に成人に近づくにつれ小さくなり、いずれは消失するであろう」という認識のもと患者に説明し治療を行うことが多い。

 矯正歯科において咽頭扁桃、口蓋扁桃の大きさと顎顔面発育との関連は古くから着目されており、歴史が深い。咽頭扁桃、口蓋扁桃が大きく、呼吸環境が弊害されると顎顔面発育に影響をおよぼすことが報告されている。近年では耳鼻科医、呼吸器内科医と矯正歯科医が連携して閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の患者を治療することが増加している。肥大した咽頭扁桃、口蓋扁桃は OSA を悪化させる要因となることがある。重度の OSA では内分泌異常、脂質代謝異常、漏斗胸やアデノイド顔貌、多動、学習能力など身体機能に様々な影響をもたらすことが報告されており、過大な咽頭扁桃、口蓋扁桃が OSA の原因となる場合、治療法として外科的に扁桃摘出術を行う場合もある。

 矯正歯科臨床において子供から大人まで治療することは多いが、リンパ組織の一つであり萎縮しているはずの咽頭扁桃や口蓋扁桃が残存している成人患者を診ることは少なくない。このことは Scammon の成長曲線と比較すると大きな差異があることになる。しかし咽頭扁桃や口蓋扁桃の大きさを縦断的かつ定量的に評価した報告、つまり「日本人における咽頭扁桃、口蓋扁桃の成長曲線」について調べた報告はない。

【研究成果の概要】  

本研究グループは、側面頭部 X 線規格写真を用いて成長期の日本人における咽頭扁桃と口蓋扁桃の年齢区分別標準値を求め、咽頭扁桃、口蓋扁桃の成長パターンを縦断的に調査した。側面頭部 X 線規格写真は撮影装置が一定の距離に固定されており、再現性が高く、硬軟組織のサイズの定量的な評価に適している(図1)。本研究結果により咽頭扁桃、口蓋扁桃の大きさの標準値を求め、成長曲線を導き出した。その結果、咽頭扁桃、口蓋扁桃の成長曲線は、Scammon らが提唱した「リンパ組織では幼少期に約 200%まで過成長した後、成人に近づくにつれてサイズが 100%に減少していく」というリンパ型の成長曲線とは異なり、小学校低学年から成人において長期間の観察では若干萎縮するものの、200%に増大するわけでもそこから半減して 100%に委縮するわけでもなく、「咽頭扁桃、口蓋扁桃の大きさは小学校低学年ごろからほとんど変化がない」ことが解明された(図2)。この結果は歯科のみではなく、耳鼻咽喉科、呼吸器内科などのさまざまな医科領域において応用ができる結果であると考える。

【研究成果の意義】  

成長期の日本人における咽頭扁桃、口蓋扁桃のサイズの標準値を求め成長曲線を導き出した。その結果、従来の Scammon のリンパ型の成長曲線(幼少期に過度に肥大し急激に萎縮していく)とは異なり、6 歳から成人のような長期的な観察期間では僅かに萎縮していくだけであることが導きだされた。この発見は従来の認識を変え、歯科のみではなく、医科をはじめとする様々な分野で応用可能であると考える。

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