News Release 

特化代謝産物を使って、植物の根は土壌環境を調整する

American Association for the Advancement of Science

小さなアブラナ科の植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)は、特化代謝産物を生成して、自らの目的にかなうように根周辺の土壌の微生物群集を選択的に変えることができるという。この研究結果は、持続可能な農業に有益な根圏微生物相を作り出すのに役立つと同時に、植物がこれほど幅広い代謝多様性を進化させてきた理由も、ある程度説明できる可能性がある。植物は非常に多種多様な特化代謝産物を生成できるため、無限に近い生態的ニッチに適応してきた。ある場所で植物が繁栄するうえで重要な環境要因は、根周辺の土壌に存在する微生物である。光合成エネルギーの大部分は根由来の分子を作るのに使用され、こういった分子は周辺土壌の特徴的な根圏微生物相の形成促進に重要だと推定されているが、こうした微生物群集の成立に関する根本的な機構はいまだによくわかっていない。トリテルペンは、防御とシグナル伝達において重要な機能をもつ特化植物代謝産物の総称であり、抗真菌機能と抗菌機能を有することが知られており、根圏微生物相との仲介役を果たしている可能性が示唆されている。しかし、植物ゲノム内の根で発現する既知の生合成遺伝子の大多数は特性化されておらず、好ましい根圏微生物相を作り上げるのに代謝産物が使われているかどうかも、どの代謝産物が使われているかもわかっていない。Ancheng Huangらはメタボローム解析と全ゲノム配列決定を行って、今まで不明だったシロイヌナズナの根にあるトリテルペン生合成ネットワークを明らかにした。その結果によると、このネットワークの生合成経路はさまざまなトリテルペン化合物を合成することが可能で、その中にはシロイヌナズナの根圏微生物相に影響を及ぼすことが知られている3種(arabidin、thalianin、TFAE)も含まれていた。Huangらによると、試験管内バイオアッセイでは、さまざまな分類群のマイクロバイオームに対して成長促進と抗生物質活性を示したという。従って、この生合成ネットワークにはシロイヌナズナに特有の根圏微生物相を動的に形作る役割があることが裏付けられた。

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