News Release 

Ruminantゲノムプロジェクトから得られた農業・自然保護・生物医学に関わる貴重な洞察

American Association for the Advancement of Science

この問題に関する3組の報告および1つのPerspectiveが、Ruminant Genome Project(RGP)の初期結果を提示している。この結果は、哺乳類に属する反すう動物のゲノミクス、進化および適応に関する前例のない知見を提供するものである。反すう動物は、その進化と多様性において高度に成功した哺乳類のグループで、農業、自然保護および生物医学にとって大きな重要性を有している。反すう動物には、よく知られた多くの家畜動物および野生動物が含まれ、これにはウシ、ヤギ、トナカイおよびキリンなどの分類群が属しており、日光の少ない極寒の北極圏ツンドラも含めた地球上のほとんどの地域に生息している。かくも多様であるにもかかわらず、現在生息する200種を超える反すう動物はいずれも、複数の室から成る特有の胃を持ち、植物を食餌として固い植物性物質の消化ができるという共通点を有している。一部の反すう動物はまた、角や枝角、あるいはその他のタイプの頭部構造を有している。しかし、反すう動物の進化の起源や多様化、あるいは反すう動物に特有の形質を生み出す遺伝的特徴については、それ程分かっていない。反すう動物の遺伝的特徴をより明らかにするため、Lei Chenらは全6つの反すう亜目に属する44種の反すう動物のゲノムを集めた。このデータセットは、40兆を超える塩基対を含むものである。Chenらはこのデータセットと、併せて他の反すう動物のゲノムを用いて、この反すう動物グループにおける時間経過を伴う系統樹を作成し、これにより多くの反すう動物属の進化過程を明らかにすることができた。興味深いことに、その結果から示されたのは、約100,000年前に反すう動物集団の大幅な衰退があったことである。著者らによれば、このような衰退は、人類がアフリカ大陸から移動して行った時期と一致しており、このことは人類が様々な生物種に影響を及ぼした早期の証拠となる可能性がある。もう1つの報告でYu Wangらは、反すう動物が頭部構造を有するようになった遺伝学的背景および進化について調べた。反すう動物は、骨が突起した頭部構造を有する哺乳類として現在生存する唯一のものであり、この頭部構造の構成と頭蓋骨上の位置は共通であるにもかかわらず、その形態と機能には複数の反すう亜目の間で違いがみられる。シカにおけるような枝角は、1日当たり2.5cmという急速な成長が可能であり、再生生物学において特に関心を集めるようになっている。頭部構造を有する反すう亜目から得た221のトランスクリプトーム、ならびに収束的に頭部構造を有さない反すう動物2系統のゲノムを、RGPにより提供された遺伝的背景と比較したところ、Wangらは、ウシ科の枝のない角と、シカ科の枝角は、遺伝的および細胞的に類似した起源を有することを発見した。しかし、最も驚くべき発見は、枝角組織の再生能は、がん関連シグナル伝達経路および腫瘍抑制遺伝子の高発現を独自に利用することで可能になっているということである。著者らによれば、この結果はがんの増殖を引き起こすことなしに組織再生を可能にする遺伝子および調節過程に関する極めて重要な洞察を提供するものである。トナカイは、北極圏という環境でも繁殖し、極度の寒さや限られた餌の入手可能性、および長期間にわたる昼夜のアンバランスといった厳しい条件下で生存することを可能にするような、様々な生物学的適応能を有している。加えてトナカイは、完全に家畜化された唯一のシカ科の動物である。にもかかわらず、こうした独自の特徴の基礎にある遺伝的基盤は、ほとんど明らかにされていない。今回Linらは、トナカイのゲノムについて詳細な評価を行い、概日リズム機構、ビタミンD代謝、家畜化と雌トナカイの枝角の成長に関わる幾つかの遺伝子が、トナカイにおいて独自の変異をきたしているか、正の選択を経たか、あるいはその両方であることを発見した。この結果は、トナカイが北極圏の環境に適応したことや家畜化されたことの遺伝的基盤を明らかにしている一方、ヒトの健康にとって重要な洞察をも提供する可能性があると、著者らは示唆している。例えば、概日リズム機構に関連するとして新たに同定された遺伝子は、ヒトにおける季節性情動障害、不眠症およびうつ病に関する情報を提供する可能性がある。最後に、Dai Fei Elmer KerとYunzhi Peter YangはそのPerspectiveにおいて、RGPを用いた3件の報告の結果を詳細に検討し、それらが将来の生物医学の取り組みに対して持つであろう意義について論じている。

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