News Release 

グリーン燃料生産に向けた効率的な2段階糖化法の新規開発

Tokyo University of Agriculture and Technology

国際共同研究により東京農工大学の銭衛華教授の研究グループは、高分子多糖を最小単位の糖に効率的に分解する2段階糖化法を開発した。この方法は、既存の方法に比べ糖化効率が30%ほど改善された。得られる最小単位の糖はバイオエタノール等のグリーン燃料の原料であり、将来的には工業化を視野に入れている。

この研究の成果は、Industrial & Engineering Chemical Researchに発表した。

この分解過程は糖化と呼ばれ、糖化された最小単位の糖は単糖と呼ばれる。単糖は、燃料となるバイオエタノールやバイオブタノール等のアルコールへと発酵過程を経て作られる原料である。これらのアルコールはグリーン燃料である。

「長年、液体無機酸や酵素を使った糖化に研究の焦点があてられてきた。酵素分解による糖化は、高い生産性とエネルギーの低コスト化が見込め、さらに環境にも優しいので期待が高い方法である。」と銭教授は話された。

高分子多糖の酵素分解による糖化は、特に稲わらを使う場合は阻害要因も存在する。米の収穫の副産物でもある稲わらには、デンプン、ヘミセルロース、セルロースと呼ばれる3種類の複雑な高分子多糖が含まれている。ヘミセルロースは食物繊維の一部で、植物細胞壁に含まれ不溶性である。酵素だけでは、様々な理由によりヘミセルロースやセルロースを分解することが困難である。ヘミセルロースやセルロースを酵素で効率的に分解するには、コストのかかる前処理が必要となる。

固体酸触媒(それ自身は溶解も反応もしないが目的の化学反応を促進する酸)を用いた糖化技術は、コストに対する解決策の1つになる。なぜなら固体酸触媒は、糖化の後でも回収でき繰り返し何度でも使えるからである。

銭教授曰く、「しかしながら、原料となる高分子多糖は不均一な物質なので、思ったほど簡単ではない。」とのこと。例えば、摂氏180度以下でヘミセルロースは分解するが、さらに加熱すると生成した単糖が副生成物へ転換されてしまう。一方、セルロースの分解は摂氏200度以上でのみ起こる。そこで銭教授らの研究グループは、稲わらからの糖化の生産性を高めるために、1段階目はヘミセルロース用で2段階目はセルロース用という2段階法を考案した。1段階目は穏和な固体酸で低温(150度以下)処理し、2段階目はより過酷な条件(強い固体酸で210度以上の高温)で処理をする。この2段階法は効率がよく、既存の伝統的な1段階法と比較して、単糖の収量が30%ほど増加した。

銭教授は、次のようにコメントしています。「我々は、稲わらや他の原料(麦わら、コーンストーク等を使った場合の、新規開発の2段階糖化法の実現可能性を評価するパートナーを探しています。我々の最終目標は、この2段階糖化法によるこれらの草木質系バイオマスの糖化プロセスの工業化であります。」

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論文:

Two-Step Saccharification of Rice Straw Using Solid Acid Catalysts Luh Putu Pitrayani Sukma, Xiuhui Wang, Sen Li, Thanh Tung Nguyen, Jianglong Pu, and Eika W. Qian Industrial & Engineering Chemistry Research 2019 58 (14), 5686-5697

DOI: 10.1021/acs.iecr.8b06473

◆研究に関する問い合わせ◆
東京農工大学大学院工学研究院
応用化学部門 教授
銭 衛華(せん えいか)
TEL/FAX:042-388-7410
E-mail:whqian@cc.tuat.ac.jp

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