News Release 

有機合成反応の二連続利用による フッ素原子含有医薬品合成の新展開

Tokyo University of Agriculture and Technology

国立大学法人 東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門の森啓二准教授、学習院大学理学部化学科の秋山隆彦教授と立教大学理学部化学科の山中正浩教授は、化学反応が起こりにくい炭素-水素結合の変換反応と基本的な有機反応を組み合わせることで、トリフルオロメチル基(-CF3)を持つ多環式化合物(スピロイソクロマン類)を立体選択的に合成することに成功しました。この成果により、これまでの手法では合成できなかった新たな医薬品候補化合物の供給の道が拓けることが期待されます。

本研究成果は、アメリカ化学会Organic Letters誌(3月19日付)に掲載されました。

URL:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.orglett.9b00668 

現状:近年の医薬品分野では候補化合物にフッ素原子団 (フルオロ基、トリフルオロメチル基) を導入した「有機フッ素化合物」が注目を集めています。医薬品分子中の水素原子をフッ素原子に置き換えることで人体内での吸収・代謝・排泄・分布が変化し、多くの場合において薬理活性の大幅な改善につながることがその大きな理由です。有機フッ素化合物の中でも、イソクロマンやイソキノリンといった、生薬などに含まれる構造単位とフッ素原子団とを併せ持つ化合物は、これまでにない独特の薬理活性が期待できる分子群です。その高い有用性に反して、従来型の合成法では反応後に廃棄物となる酸化剤を用いるなどの問題を残しており、新たな合成手法の開発が強く求められていました。

研究体制:本研究は、東京農工大学大学院工学府応用化学専攻 田村里彩修士、大学院工学研究院応用化学部門 森啓二准教授、学習院大学大学院自然科学研究科化学専攻 北村英理子修士、秋山隆彦教授、ならびに立教大学理学部化学科 堤亮祐助教、山中正浩教授らにより行われました。また、本研究は、科学研究費補助金 基盤研究(B) 26288053, 17KT0011、上原記念生命科学財団、および内藤記念科学振興財団の助成により行われました。

研究成果:本研究では、遷移金属触媒や外部酸化剤を必要としない炭素-水素結合変換法と一般的な有機反応であるFriedel-Crafts反応を組み合わせて、トリフルオロメチル基を含むイソクロマン、その中でもやはり医薬品中に多く見られるスピロ環構造を併せ持つ化合物(スピロイソクロマン)の合成法を開拓することを目指しました。反応の達成にあたっての鍵は、二つの有機反応を連続的に進行させるための適切な反応性分子の設計です。種々の検討の結果、反応性の高い芳香環とトリフルオロメチルケトン部位を分子内に併せ持つエーテル類を原料とすることで、計画した連続反応を実現することができました。また、今回開発した合成法では、医薬品分野への応用において強く求められる、置換基の配列様式を制御して合成すること(立体選択的合成)も達成できています。  

今後の展開:今回はイソクロマン類に焦点をあてましたが、開発した方法論を使用することで同様の高い薬理効果が期待できる窒素原子を含む構造(イソキノリン)や炭素原子のみから成る構造(テトラリン)も合成することができます。これまでにない医薬品候補化合物の提供につながることが期待できます。

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◆研究に関する問い合わせ◆

東京農工大学大学院工学研究院
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森 啓二(もり けいじ)
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学習院大学理学部
化学科 教授
秋山 隆彦(あきやま たかひこ)
TEL: 03-5904-9379
FAX: 03-5992-1029(理学部事務室)
E-mail: takahiko.akiyama@gakushuin.ac.jp

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