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サンゴ共生藻と刺胞動物との共生崩壊に関わる遺伝子発現の変化を解明 共生が崩壊する「白化現象」を遺伝子レベルで解析

Tohoku University

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IMAGE: 図 1. 褐虫藻を共生させたモデル刺胞動物のセイタカイソギンチャクと「白化関連遺伝子」の一つであるステロール輸送体遺伝子の塩基配列の一部。 view more 

Credit: Shinichiro Maruyama

海の生物多様性の宝庫とも言えるサンゴ礁は、造礁サンゴなどの刺胞動物と、褐虫藻(かっちゅうそう)と呼ばれる単細胞藻類の細胞内共生によって成り立っています。褐虫藻は宿主である刺胞動物から供給される二酸化炭素を利用して光合成し、その産物である有機物を栄養源として宿主へ提供していると考えられています。

近年、地球温暖化などの環境変動によってサンゴと褐虫藻の共生が崩壊し、サンゴ礁が死滅する「白化現象」が世界的な問題になっています。しかし、安定な共生が維持される仕組みについて、未解明な点が多いのが現状です。この問題に遺伝子レベル、分子レベルからアプローチするため、丸山らはモデル刺胞動物であるセイタカイソギンチャク(図 1)と褐虫藻を実験室内で安定に培養する方法や、遺伝的に解析するためのツールを開発してきました。

本研究では、温度上昇による白化の要因を探る目的で、セイタカイソギンチャクの共生状態と温度条件を変化させた際の遺伝子発現パターンの変動を網羅的に調べました。その結果、共生状態では温度上昇によって発現量が大きく変動するものの、白化(非共生)状態では顕著な変動が見られない 292 の遺伝子が同定されました。

研究グループは、これらの遺伝子の中に、温度上昇による白化を引き起こす要因があると考え、白化関連遺伝子(Heat-induced bleaching-associated [HIBA]遺伝子)と呼んで解析しています(図 2)。これら HIBA 遺伝子について機能分類解析を行ったところ、リソソームという細胞小器官や、糖の代謝に関わる機能を持つ遺伝子の発現量が大きく変動していることが分かりました。その中でも「リソソーム」は、細胞内の様々な物質を分解・消化する機能を持つ細胞小器官であり、共生状態では褐虫藻がこの「リソソーム」とよく似た「共生胞(シンビオソーム)」と呼ばれる細胞小器官に存在することから、共生体が減少・消失する白化現象との関連が示唆されます。また、褐虫藻が光合成産物として宿主に受け渡す糖や、褐虫藻の細胞表面の糖分子が宿主との共生に関わる可能性が古くから指摘されています。これらのことから、同定された遺伝子群の主な役割はリソソームでの糖分解と推測し、温度上昇による白化の仕組みとの関連について、更に詳しい研究を進めています。

本研究は、JSPS 科学研究費助成事業、ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団研究助成金、公益財団法人発酵研究所一般研究助成、基礎生物学研究所個別共同利用研究等の支援を受けて行われました。

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