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2016年の研究の再現実験が3件失敗したことを受け、Science誌は「編集者の懸念表明」を持続

American Association for the Advancement of Science

今年3月のScience誌に、2016年のSiddappa N. Byrareddyらによる研究に関し、この研究で結果に影響を与えうるウイルスバリアントが使用されたことをScience誌が知ったことを注意喚起するために編集者の懸念表明を発表したことに続き、Science誌は今回、使用されたウイルスが野生型ではなかったことを表明するこの研究の正式な訂正を発表する。Byrareddyらによる研究では、非ヒト霊長類において、インテグリンタンパク質α4β7を標的とする抗体と標準治療である抗レトロウイルス治療(ART)を組み合わせることで、抗ウイルス薬をすべて中止してから9ヵ月以上、SIVウイルス濃度を非常に低濃度に維持できたことが報告された。この結果は公衆衛生において重要であり、FDAが承認した同様な抗体(ベドリズマブ)を用いた臨床試験ならびに3件の再現実験が行われることとなった。この試みは研究を確認し、抗体の影響に関する機構的洞察を得るために開始された。

Byrareddyらの論文に関する2019年3月の編集者の懸念表明(EEoC)は、この研究で使用されたウイルスがSIV nef遺伝子にストップコドンを有するという特徴を持つことをScience誌が知った後に発表した。このことは、この株を意図的に選択した、著者であるFrancois Villingerにより知らされた。Villingerはこれが慢性HIV感染の良好なモデルを提供すると考えているが、この株の使用は共著者には伝えられておらず、原稿にも明確に記載されていなかった。この問題について注意喚起する3月のEEoCを受けて、Science誌は現在、使用されたウイルスが野生型SIVmac239ではなくSIVmac239-nef-stopである(このウイルスの使用は動物間でのウイルス病原性に差異を生じさせる)ことを記載するようByrareddyらの論文を訂正中である。

これとは別に、Byrareddyらの研究の全体または一部を再現する3件の試みがすべて失敗したことが、Science誌今週号の3件の報告で示されている。そのためScience誌は、この研究に関する編集者の懸念表明を持続し、現在のエビエンスから、報告された2016年の結果は「確実ではないため、HIV治療に関する先導的研究の良好な基礎を提供するものではない」ことが示唆されることを読者に警告する。再現実験のうち2件(Di MascioらおよびIwamotoら)はByrareddyらと同じSIVmac239-nef-stopウイルスを用いたが、持続的に低いウイルス量を再現できず、結果から、2016年の論文に報告された抗体投与の良好な効果の理由はnef-STOPウイルスではなかったことが示された。3番目の研究(Abbinkら)は異なるSIV株を用いて同様な抗体法を行ったが、知見を再現することはできなかった。

著者であるByrareddy、試みられた再現実験の著者、そして編集者も、2016年の研究と失敗した3件の再現実験との差を説明できないため、Science誌は編集者の懸念表明よりも先に進むことはない。また、α4 β7を標的とすることが感染経過に良好な影響を与える可能性があるという考え方を支持する科学的基盤がある。

ベドリズマブ(潰瘍性大腸炎およびクローン病の治療法として承認されている抗体)を用いた第1相臨床試験の結果の結果を示すScience Translational Medicineの報告から、7回目の抗体投与後(22週目)にARTの投与を中止したHIV陽性患者19例において、この抗体が持続的な抗ウイルス作用を示さなかったことが明らかになった。抗体治療は忍容性が良好であり重篤な副作用はみられなかったが、この結果は、α4β7を遮断することがHIV陽性患者のウイルスを制御するための有効な治療とはならない可能性を示している。したがって、この結果は前述の3件の再現実験の知見を裏付けている。この研究では、Michael Snellerらが30週間かけてベドリズマブ抗体をHIV感染患者19例に複数回投与し、22週目にARTを中止してから2週間ごとにCD4+ T細胞数および血漿中のウイルス量を評価した。ARTの中止は抗体のみによってウイルス量を抑制できるかどうか判断するために行った。この治療は、被験者1例を除き、HIV DNAおよびRNAを有するCD4+T細胞を有意に減少させるには至らなかったと著者らは報告している。

関連したEditorialで、Science誌のチーフエディターであるJeremy Bergは、「科学の基礎として」実験を再現し結果を比較することの重要性を強調している。また、Byrareddyらの研究の発表後に生じた事象についてさらに詳しく述べ、重要な結果の再現実験を促進し伝達するための、科学コミュニティーと出版コミュニティーに共通した課題についても扱っている

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