News Release 

ロータリーエバポレーターのマクロな回転で分子の右巻き、左巻きを制御!

―生命のホモキラリティー起源の候補を高い再現性で初めて実証―

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

東京大学 生産技術研究所の石井 和之 教授、半場 藤弘 教授、黒羽 みずき 大学院生、南部翔平 大学院生、服部 伸吾 研究員(現:横浜市立大学 助教)、北川 裕一 大学院生(現:北海道大学 特任講師)、新村 和寛 大学院生、水野 雄貴 大学院生のグループは、ロータリーエバポレーターを使用して、フタロシアニン分子の単量体を含む溶液を濃縮することにより、キラルな触媒を用いずに、マクロな機械的回転に応じて、右巻きまたは左巻きにねじれたフタロシアニン キラル会合体を、高い再現性で合成することに成功した。会合体の"ねじれ"構造は分光測定により決定され、フラスコ内流体運動の"ねじれ"も計算することで、キラル誘起機構を提案した。

分子は、その構造の鏡像と重ね合わすことができない性質(キラリティー)を示すことがあり、医薬品や材料の開発などにおいて極めて重要である。最近、マグネティックスターラーなどのマクロな機械的回転を使用した渦運動によって、超分子または高分子をねじってキラリティーを発現させる例が報告されており、生命のホモキラリティー起源の候補であることやキラルな触媒を用いない新たな合成法などの観点から注目を集めていた。一方、ロータリーエバポレーターのマクロな機械的回転を使用したキラル化合物の合成例も報告されていたが、再現性が低く、キラリティーを誘起する機構も不明であった。

今回の発見は、マクロな機械的回転(~10-1m)とナノスケールの分子キラリティー(10-7~10-9m)に結びつけている点から、新しい科学分野となりえるだけでなく、生命のホモキラリティー起源を考える上での手がかりも提供している。さらに、キラルな触媒を用いずにキラル分子を合成する合成法やキラル光学材料へ調整する方法へと発展することが期待できる。

本研究成果は10月31日(木)(中央ヨーロッパ時間)に、ドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」(オンライン版)に掲載された。

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