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宇宙の錬金術を観察するためのカギを赤外線域で発見

中性子捕獲元素によって近赤外線に現れる吸収線の多

National Institutes of Natural Sciences

天体の中にどのような元素が存在するかを知るために不可欠な情報が、近赤外線による恒星の観測によって得られました。中性子星の合体は重力波源としても注目されていますが、合体の際に生成される元素に関係した知見が、宇宙の歴史の中でどのようにして多様な元素が増えてきたかを探る鍵になることが期待されます。

遠く離れた天体の中にどのような元素が存在しているのか、天文学者は天体からの光を波長別に分けて観測することで調べています。「分光」というこの観測手法は、元素が特定の波長の光を吸収したり放射したりするという性質を利用しています。一つの元素はいろいろな波長の光を吸収・放射しますが、どのような波長の光をどの程度吸収・放射するかの理論的な計算は、特に重い元素で難しく、実験や観測による検証が不可欠です。

東京大学や京都産業大学、国立天文台などの研究者から成る研究グループは、京都産業大学神山(こうやま)天文台の口径1.3メートルの荒木望遠鏡に取り付けた近赤外線高分散分光器「WINERED(ワインレッド)」を用いて、13個の恒星について近赤外線での分光観測を行いました。そして、この観測で検出した多くの吸収線の波長を理論的に得られたリストと比較し、9種類の元素を同定することに成功しました。近赤外線の波長域には、重い元素が作る吸収線が多く存在することが予測されていましたが、その実在や強度比が精度よく測定されたのは初めてです。

吸収線が確認された元素は、原子番号30の亜鉛から原子番号66のジスプロシウムに及び、いずれも中性子捕獲元素に分類されるものでした。これらの元素は、中性子星どうしが合体するときに多く生成されると考えられています。近年、中性子星どうしの合体が重力波や電磁波によって観測され注目を集めていますが、その観測的特徴を理解するためにも今回の知見はたいへん重要です。水素とヘリウムしか存在しなかったビッグバン直後の宇宙から、現在の多様な元素に満ちあふれた宇宙への進化を理解するための鍵を提供する成果です。

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