News Release 

液体の水の中には2種類の構造が存在する

~水の特異性をめぐる長年の議論に決着~

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

水は私たちの惑星で最も重要な液体であり、さまざまな化学的、生物学的、地質学的、気象学的プロセスで重要な役割を果たしている。水は4℃で密度が最大になるなど、他の液体にはない様々な特異な性質を示すことが知られている。その起源として、液体の構造の特殊性が考えられるが、何世紀にもわたる研究にもかかわらず、液体の水を理解する上で基礎となる構造については、液体特有の大きな熱揺らぎのため不明のままであり、深刻な論争の種であり続けた。具体的には、レントゲン(1892)の時代から1世紀以上にわたって、構造が幅広い連続的な分布を持つという「連続体モデル」(ポープル(ノーベル化学賞受賞)らが提唱)と構造が2つの成分からなると考える「混合モデル」(レントゲン(ノーベル物理学賞受賞)、ポーリング(ノーベル化学賞受賞)らが提唱)という2つの考え方の間で論争が続いてきた。その原因は、これまで、水の中に2種類の構造が存在するという直接的かつ決定的な証拠がなかったことにある。

東京大学 生産技術研究所の田中 肇 教授、シー・ルイ 特任研究員の研究グループは、一般的な水モデルのシミュレーションと最新のX線散乱実験データの詳細な解析により、水の構造因子には、見かけ上の「一つ目の回折ピーク」の中に、2つのピークが隠れていることを発見した。隠れたピークの1つは、水の中に形成される正四面体構造に関連したピークであり、もう1つのピークは、より乱れた構造から生じていることが明らかとなった。この結果は、水に2種類の構造が存在することを強く支持する結果であり、長年にわたる論争に終止符が打たれるものと期待される。

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本成果は2020年1月30日(米国東部時間)に「Journal of the American Chemical Society (JACS)」のオンライン速報版で公開された。

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