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小さな球の中で結晶はどのようにできるか?

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

Research News

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IMAGE: Researchers from The University of Tokyo and Fudan University observe the crystallization process in a droplet view more 

Credit: Institute of Industrial Science, the University of Tokyo

東京大学 生産技術研究所の田中 肇 教授(研究当時、現:名誉教授/シニア協力員)、トン フア 特任研究員(研究当時、現:上海交通大学 准教授)、柳島 大樹 特任研究員(研究当時、現:オックスフォード大学 研究員)、復旦大学のタン ペン 准教授、チェン ヤンシャン 大学院生、ヤオ ゼンウェィ 大学院生、タン シーシャン 大学院生の共同研究グループは、球に閉じ込められたコロイド分散系において、球という幾何学的な拘束の下で最終的な結晶構造がどのようにして選択されるのかについて明らかにすべく研究を行った。例えば、ウイルスの球殻における蛋白質の規則的な配列構造の形成や、ナノ液滴から形成される微結晶は、このような幾何学的な拘束下で進行することが知られている。このような空間的な拘束下での構造形成は触媒分野などで重要であるが、結晶構造がどのような機構で形成されていくかについてはほとんど情報がなく、物理的な機構は未解明のままであった。

今回、本研究グループは、エマルジョンの液滴に閉じ込められカプセル化された荷電コロイド系の結晶化の全過程を、共焦点レーザ顕微鏡を用いて、一粒子レベルで三次元観察することにより、実時間で追跡することに成功した。

結晶化は、まず、幾何学的なフラストレーションのために欠陥を内包した正二十面体的粒子配置を持つスキン層が球表面付近に形成され、その後、内部の構造がゆっくりと形成されることを見出した。最終形態は、表面付近における系に依存しないスキン層の形成と、表面から遠い球の中心付近での系に依存した最も安定な結晶への構造形成という、相容れない2種類の構造形成の間の競合によって決まることが明らかとなった。

本研究により、幾何学的制約の下での結晶化の過程が、熱力学だけでは決まらず、動的な因子が極めて重要な役割を演じていることが明らかとなった。ナノスケールでの結晶化は、触媒分野をはじめとする様々なナノテク分野において重要であり、本研究はそれに基礎的な指針を与えた点に、インパクトがある。

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本成果は2020年9月21日(英国夏時間)に「Nature Physics」のオンライン速報版で公開される。

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