News Release 

脂肪酸受容体が温度によるメダカの性転換を引き起こす

環境に左右される性決定の新たなメカニズムを発見!

Kumamoto University

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IMAGE: CRHは副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、VTはバソトシン、ACTHは副腎皮質刺激ホルモン。高温ストレスは副腎のコルチゾルを通して生殖腺体細胞のPPARαシグナルを活性化することで、メダカを雄に分化させる。... view more 

Credit: Professor Takeshi Kitano

熊本大学の研究グループは、共同研究により、細胞内で脂肪酸を検知して生理機能の調節などを行う脂肪酸受容体の1つである「PPARα」の活性化が、メダカの雄化を引き起こすことを発見しました。今回の分子機構の発見によって、新たな性統御技術の開発が進展することが期待されます。

我々ヒトを含む哺乳類は性染色体の組み合わせによるXX/XY 型の性決定様式をもち、性別が遺伝子によって決定されます。一方で、魚類、両生類、爬虫類等では温度に左右される性決定(温度依存的性決定)現象が知られています。一方で、メダカ(Oryzias latipes)は、哺乳類と同じXX/XY型の性決定様式を持ちます。

近年メダカのY染色体上の性決定遺伝子DMY(DM-domain gene on Y chromosome)が同定されました。通常、DMYをもつXY個体は雄へ、もたないXX個体は雌へと分化します。一方、メダカを性分化時期に32〜34℃の高水温ストレス下で飼育すると、XX個体が雄へと分化する、つまり、遺伝的な性決定様式が温度によって影響を受けることがわかっていました。熊本大学の研究グループは、これまでの研究において、高温により誘導されるストレスホルモン(コルチゾル)が生殖腺に直接作用して雄化を引き起こすことを証明しています(Hayashi et al.,2010; Yamaguchi et al.,2010; Kitano et al.,2012)。しかしながら、コルチゾルによる雄化の分子機構はわかっていませんでした。

本研究では、まずRNAシークエンシング(RNA-seq)解析を行い、高温やコルチゾルにより活性化する遺伝子を探索したところ、脂肪酸受容体「PPARα (peroxisome proliferator-activated receptor alpha)」に関わる遺伝子が多数検出されました。次に、PPARαの活性化剤をメダカに投与したところ、XXメダカが雄化することがわかりました。さらに、PPARαの機能をなくしたノックアウトメダカを作製し、このメダカにコルチゾルまたはPPARα活性化剤を投与したところ、完全に雄化が抑制されました。これらのことから、コルチゾルによるメダカの雄化には、PPARαの活性化が深く関与することを初めて明らかにしました。

研究を主導した北野健教授は次のようにコメントしています。

「ヒラメやウナギ等の魚類養殖では、雄よりも雌の成長が速い等の理由により、雌だけを作る全雌生産の技術開発が求められています。本研究により、ストレスによる雄化を誘導する分子機構が明らかになったことから、今後はこの機構を利用した新たな性統御技術の開発が期待されます。」

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本研究成果は、学術雑誌誌「Scientific Reports」に令和2年7月15日に掲載されました。

Source: Hara, S., Furukawa, F., Mukai, K., Yazawa, T., & Kitano, T. (2020). Peroxisome proliferator-activated receptor alpha is involved in the temperature-induced sex differentiation of a vertebrate. Scientific Reports, 10(1). doi:10.1038/s41598-020-68594-y

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