News Release 

納豆抽出液が新型コロナウイルスの培養細胞への感染を阻害することが判明

感染予防対策への貢献に期待

Tokyo University of Agriculture and Technology

Research News

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IMAGE: Researchers from the Tokyo University of Agriculture and Technology found that an extract made from natto appears to digest the binding site of SARS-CoV-2, inhibiting the virus's ability to infect... view more 

Credit: Part of Figure is adopted from Biochemical and Biophysical Research Communications Volume 570, 17 September 2021, Pages 21-25. 2021 The Authors. Published by Elsevier Inc.

【ポイント】

  • 実験室における培養細胞を用いた実験において、納豆抽出液が新型コロナウイルス(以下、「SARS-CoV-2」*1)や牛ヘルペスウイルスI型の感染を阻害しました。
  • 納豆抽出液に存在すると考えられる蛋白質分解酵素がSARS-CoV-2粒子のスパイク蛋白質を分解し、その結果感染が阻害されることが試験管内の実験結果から推察されました。
  • 納豆抽出液は新型コロナウイルスの変異株である英国型(アルファ型)のスパイク蛋白質も試験管内の実験で分解することがわかりました。

【概要】  

新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が精力的に進められていますが、ワクチン接種が完了するまでに感染の拡大を抑制する対策が求められています。納豆は我が国の伝統的な健康食品であり、これまでにも免疫力の増加や血栓の解消など健康を向上させるなどの健康効果が確認されています。本研究では、実験室における培養細胞を用いた実験において、納豆(タカノフーズ株式会社、「すごい納豆S-903」)の抽出液が、SARS-CoV-2の感染を阻害することを発見いたしました。本研究は、国立大学法人東京農工大学、国立大学法人宮崎大学、タカノフーズ株式会社の共同研究で行われました。また本研究の成果は、2021年7月13日に国際学術誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」にオンライン掲載されました。  

論文では、納豆抽出液に含まれる物質がSARS-CoV-2の表面に出ているスパイク蛋白質の受容体結合領域を分解することにより、感染を阻害することを証明しました。同様に試験管内の実験においても武漢株と英国株(アルファ株)のスパイク蛋白質の受容体結合領域も納豆抽出液により分解されました。さらに、納豆抽出液は牛ヘルペスウイルスI型のウイルスの表面糖蛋白質を分解し、培養細胞への感染を阻害することも明らかにしました。なお、この物質は熱処理でウイルスの蛋白質を分解できなくなることや蛋白質分解酵素の阻害剤を用いた実験などから、少なくとも蛋白質分解酵素の1つであるセリンプロテアーゼが含まれていると考えられます。これまで食品の直接的抗ウイルス効果を示された例は少なく、伝統的な食品の非常時における価値が見直されるきっかけになる研究となります。

本研究は培養細胞を用いた実験であり、納豆を食べることによりSARS-CoV-2の感染を防ぐことができることを示しているわけではありません。

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【論文タイトルと著者】

タイトル Natto extract, a Japanese fermented soybean food, directly inhibits viral infections including SARS-CoV-2 in vitro (日本の発酵大豆食品である納豆の抽出液は培養細胞レベルで新型コロナウイルスの感染を直接阻害する)

著者

大場真己(東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター*2・特任准教授) 文榕鐸(東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター・博士課程1年) 齊藤暁(宮崎大学農学部獣医学科・准教授) 岡林環樹(宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター・教授) 横田智子(東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター・技能補佐員) 安岡潤子(東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター・客員教授) 佐藤葉子(東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター・特任専門職員) 西藤公司(東京農工大学農学部共同獣医学科・教授) 和気仁志(東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター・客員教授) 二歩裕(東京農工大学先端産学連携研究推進センター・特任講師) 水谷哲也(東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター・センター長・教授) 責任著者 掲載誌 Biochemical and Biophysical Research Communications Volume570, 17 September 2021, Pages 21-25 https://doi.org/10.1016/j.bbrc.2021.07.034

【用語解説】 *1 SARS-CoV-2 SARS-CoV-2/Hu/DP/Kng/19-027、LC528233、神奈川県衛生研究所より分与。

*2東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター 2011年に設立した農学部附属国際家畜感染症防疫研究教育センターから、2021年4月文部科学省の概算要求において改組が認められ「農学部附属感染症未来疫学研究センター」に名称変更しました。これまで後手に回っていた感染症の防疫について、未来に出現する感染症を予測し先回り防疫すること(未来疫学®)をミッションのひとつに掲げています。未来疫学®は東京農工大学の登録商標です。https://tuat-cepir.jp

◆研究に関する問い合わせ◆

国立大学法人東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター
センター長・教授 水谷哲也
〒183-8509 東京都府中市幸町3-5-8
Tel: 042-367-5749/042-367-5742
e-mail: tmizutan(ここに@を入れてください)cc.tuat.ac.jp

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