News Release

ラクオリア創薬株式会社と 名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所の 共同研究開始のお知らせ

〜体内時計のリズムを調節する新薬の創出を目指して

Business Announcement

Institute of Transformative Bio-Molecules (ITbM), Nagoya University

Changing Circadian Rhythm

image: This is an image of the changing circadian rhythm. view more 

Credit: ITbM, Nagoya University

ラクオリア創薬株式会社(代表取締役社長:谷 直樹(たに なおき)氏)と名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM、拠点長:伊丹 健一郎(いたみ けんいちろう)教授)は、「概日リズムを調節する低分子化合物の探索」に関する共同研究契約を締結し、ラクオリア創薬の岩田 康弘(いわた やすひろ)特任准教授、森田 幹雄(もりた みきお)特任准教授、野口 洋英(のぐち ひろひで)特任准教授とITbMの伊丹 健一郎教授、廣田 毅(ひろた つよし)特任准教授、スティーブ・ケイ主任研究者(米国スクリプス研究所 (The Scripps Research Institute)、所長)の間で共同研究を開始しましたのでお知らせいたします。

「概日リズムを調節する低分子化合物の探索」は、ITbMの主要研究テーマの一つです。伊丹教授(合成化学)、廣田特任准教授およびスティーブ・ケイ主任研究者(時間生物学)らは、概日時計(体内時計)の機能を調節する化合物を用いた化学遺伝学研究(ケミカル・ジェネティクス)を進めています。さらに、ITbMが保有する最先端の技術を組み合わせることにより、概日時計の研究を変革させ、ひいてはヒトの健康増進に役立つような「トランスフォーマティブ生命分子」を発見することを目指しています。概日時計は、睡眠・覚醒リズムのほか、ホルモンの分泌や代謝活動の制御にも重要な役割を果たしています。そのため、概日リズムが乱れると、睡眠障害をはじめ肥満などの生活習慣病を引き起こすだけでなく、場合によっては精神疾患の原因にもなると言われています。概日時計の鍵となる制御機構をターゲットとする化合物は、概日時計の機能を自在に操作するための有用なツールとなるだけでなく、概日時計に関連した疾患の治療法開発の足がかりとなる可能性があります。

ラクオリア創薬は、Pfizer Inc.の日本法人であるファイザー株式会社の中央研究所を前身としております。旧中央研究所の人的・物的資産,研究開発ポートフォリオおよびその他を承継して、2008年2月に設立し、同年7月に事業を開始しました。ラクオリア創薬は、医療分野においてニーズの高い疾患領域での新たな医薬品の研究開発を行う創薬企業であり、炎症性および神経性の「疼痛」と胃食道逆流症や過敏性腸症候群を代表とする「消化管疾患」を主な領域として医薬品のシーズを探索しています。ラクオリア創薬は、独自のビジネスモデルであるオープン・コラボレーションを通じて、大学や公的研究機関、製薬企業、ベンチャー企業とともに革新的な新薬の種となる開発化合物を創り出しています。

さらに、ラクオリア創薬は、2015年4月に、名古屋大学医学系研究科および創薬科学研究科に産学協同研究講座「薬剤科学・分析化学講座」(岩田 康弘特任准教授)および「新薬創成化学講座」(森田 幹雄特任准教授・野口 洋英特任准教授)をそれぞれ設置しました。名古屋大学の産学連携研究施設、ナショナル・イノベーション・コンプレックス(National Innovation Complex, NIC)施設を研究拠点の一つとして整備し、名古屋大学とのシナジーを最大限に発揮できる体制を構築しました。本共同研究はその一環として位置づけられ、ラクオリア創薬が保有する産学協同研究講座とITbMの間で実施いたします。

一方、ITbMは2012年10月に文部科学省の世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)に採択され、名古屋大学に設立された国際研究所です。WPIは、日本の優れた頭脳と得意分野のもとに、世界的な研究者が集まる研究環境を整備し、国際的な知の拠点を形成することを目的とした研究支援プログラムです。ITbMでは、拠点長の伊丹教授を中心に、世界屈指の分子合成力を推進力とし、生命科学・技術を根底から変える革新的機能分子「トランスフォーマティブ生命分子」を生み出すことを命題として、合成化学者と動植物生物学者の連携を核として、研究分野の壁を越えた世界最先端の研究を展開しています。

「ITbMを知ったのは、2013年に伊丹教授の講演を聴いたときでした。そして、今年度の始めより、共同研究の内容や役割分担についてITbMと協議を進めてまいりました。創薬研究者の視点では「くすり」の種としてとらえることのなかったかもしれない分子から出発して、標的分子の特定をITbMがわずか1年で成し遂げた、という実践例には驚きました。今後は、お互いの経験や知識を共有しながら、概日時計を調節する分子の研究をともに展開したいと考えています。今回、ラクオリア創薬がITbMの産学連携のパートナーとして選ばれたのは大変光栄なことです。創薬ベンチャーである当社の科学技術をもって、このエキサイティングな研究プロジェクトに貢献したいと考えています。」(ラクオリア創薬 創薬研究部門 化学研究部長 須藤 正樹氏)

「ITbMで発見された分子を「くすり」にするためには、数々の画期的な医薬品の開発をしているラクオリア創薬との共同研究が大変重要になります。創薬のプロであるラクオリア創薬の研究員のみなさんから学び、お互いの得意なところを活かしながら、オープンに共同研究を進めていきたいと考えています。ラクオリア創薬の須藤氏とは、大学の学部1年生から同じクラス、さらに大学院でも同じ研究室におりましたので、今回ご縁があってともに研究ができることを大変嬉しく思っています。」(名古屋大学ITbM 拠点長 伊丹 健一郎教授)

「概日リズムは睡眠障害や代謝疾患など様々な病気に結びついています。概日リズムを理解し制御することは、これらの病気の治療に役立つ可能性があります。ITbM発のユニークなシーズを元に、より「くすり」に近づく分子を見つけることで、基礎研究の成果を応用していくことが重要な課題です。ラクオリア創薬とITbMとの共同研究は願ってもないチャンスであり、概日リズムが関連する医薬品の開発につなげていければ、と考えています。」(名古屋大学ITbM 廣田 毅特任准教授)

ITbMとラクオリア創薬は、ITbMの最先端の基礎研究の成果と、ラクオリア創薬がこれまで培ってきた創薬研究のノウハウを融合し、産学連携のもとで創薬研究を加速することにより、概日リズムを調節する画期的な新薬の創出を目指してまいります。

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