News Release

寄生虫はどのようにして炎症性腸疾患を最小限に抑えているのか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

炎症性腸疾患が存在する場合、腸内寄生虫が腸内細菌叢の組成に有益な影響を与えることが、新しい研究で示唆された。この知見は、腸内寄生虫、すなわち蠕虫類が、宿主に有益な方法で腸内細菌叢をどのようにして操作しているかに関する重要な見識を提供している。Deepshika Ramananらは、過去の研究に基づき、Nod2欠損マウス(クローン病のモデルに使用されるマウス)が、粘膜層の障害や腸細胞の形態変化などの小腸の異常を発現することを発見した。これらの変化により、細菌Bacteroides vulgatusがより多く定着できるようになっていた。研究チームは、これらのマウスへの蠕虫Trichuris murisの慢性感染が、小腸の粘膜と細胞形態を回復させることを明らかにした。炎症性マーカーを詳しく調べたところ、寄生虫が、免疫シグナル伝達分子、インターロイキン(IL)-4およびIL-13を介して、B. vulgatusの阻害を助けていることが明らかになった。これは、関連する転写因子をノックアウトすることで確認された。同様な、さらに顕著な結果が、別のタイプの蠕虫でも認められた。感染の過程を通してマウスの腸内細菌叢をモニタリングしたところ、寄生虫がB. vulgatusを減少させ、さまざまなファミリーの細菌株Clostridialesの定着の増加に役立っていることが明らかになった。炎症性腸疾患は、蠕虫感染が非常に多く見られる地域ではあまり流行していない。そのためRamananらは、腸内寄生虫の感染率が非常に高いマレーシアの先住民の検討を行い、駆虫治療前後に採取した糞便検体を解析した。腸内細菌叢の組成が顕著に変化していることが示され、治療後はClostridialesが最も顕著に減少し、Bacteroidalesが顕著に増加していた。これらの結果は、蠕虫とヒトとの共生関係の興味深い有益な一面を明らかにしている。

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