ヒトは地上における多くの捕食動物の1つにすぎないが、新たな研究により、成獣の獲物や他の肉食獣を標的にして殺すという強い傾向が、他の捕食動物と一線を画す特徴となっていることが示された。ヒトが、生殖機能の頂点に達した他種の動物を殺すことは、広範な殺戮ならびに食物網および生態系の再構成を含め、陸上および海中の生態系にとって深い意味をもつ可能性がある。ヒトの捕食の性質をヒト以外の動物の捕食と比較して評価するため、Chris Darimontらは世界中の陸上および海中環境の2,125種の捕食動物について調査を行った。その結果、ヒトが他種の成獣を標的にする傾向は、他の捕食動物よりも14倍も高く、特に陸上の肉食動物と魚類を捕獲する割合が高かった。著者らによれば、魚類の捕獲が行われている地域の中でも、捕食の影響は大西洋で顕著であり、これはより長期にわたる大量捕獲の結果であり、獲物の数が少ないことがより積極的な捕獲を促した可能性を反映することが示唆されるという。ヒトに見られる特有の捕食行動は生態系に対して大きな影響を及ぼす可能性があり、例えばそれは、他種の形態学的および生活史的表現型を変化させ、 個体群における生殖能力を変化させ、食物網における生態的相互作用を変化させることによる。Boris WormによるPerspective記事では、ヒトにおける大量捕食の傾向とその意味がより詳細に論じられている。
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Article #16: "The unique ecology of human predators," by C.T. Darimont; C.H. Fox; H.M. Bryan; T.E. Reimchen at University of Victoria in Victoria, BC, Canada; C.T. Darimont; C.H. Fox; H.M. Bryan at Raincoast Conservation Foundation in Sidney, BC, Canada; C.T. Darimont; H.M. Bryan at Hakai Institute in Heriot Bay, BC, Canada.
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