地域的な水の管理戦略に起因する蒸発散量と流出量が判明し、これまで考えられていた以上に人間は多くの真水を消費し、水循環を大きく変えていると考えられることが新しい研究によって示された。これが正しければ、人間活動による世界の真水の総使用量は18%増加する結果となる。これまでの大半の研究では水管理が河川の分断化や分水といった要因に影響を及ぼす仕組みに焦点が当てられていたが、ごく最近になって、蒸発散量といった目立ちにくい要因の重要さが顕著になってきた。Fernando JaramilloとGeorgia Destouniは水の管理戦略(ダムや灌漑など)が蒸発散量の対降水量比に影響するかどうかを突き止めようと、1901~1954年と1955~2008年の2期間を対象に100ヵ所の水域で物理的変化を分析した。彼らのモデルから得られた結果として、後者の時期に蒸発散量が激増するとともに、水の流出率が減少していることが判明した。蒸発散量のこの変化は、水域の地理的位置や大気圏の気候変動といった調査対象となった他の要素と比較して、人間による地域的な水管理の影響が大きいと考えられる。人間が引き起こしたこれら蒸発散量の地域的な変化は地球規模で深刻な影響があることが判明した。人間の真水の平均消費量は年間で3,563km3増加する。これは人間が関係する現在の地球規模のウォーターフットプリントの最近の推測値を18%上回る値である。JaramilloとDestouniはこの新しい推測値は持続可能なレベルを大きく超えていると述べている。
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