遺伝子シーケンシング技術における最近の進歩を利用して、研究者らは、ゴリラゲノムのアセンブリを大幅に改善した。ヒトの生物学および遺伝的多様性についての理解を深めるには、ヒトに最も近縁の非ヒト霊長類のゲノムに関する完全な質の高いデータを得ることが重要である。最初にゴリラゲノムが完全に配列決定されたのは2012年のことであった。しかし、古いゲノムには400,000を超えるシーケンスギャップが含まれており、従来のゲノムアセンブリ法では遺伝構成に不正確な部分が残っていた。今回David Gordonらは、シカゴのリンカーンパーク動物園で飼われているスージー(Susie)という名のニシローランドゴリラから分離されたDNAを用い、ロングリードシーケンシング技術を独自のアルゴリズムの組み合わせと併用することで、はるかに正確なゴリラゲノムを再構成した。以前のゴリラゲノムアセンブリ(gorGor3)と比較して、今回の新たなアセンブリ(Susie3)では、コンティグ(間違って二度読まれた短い配列)が96%も削減された。また著者らによれば、gorGor3ゲノムに存在していた433,861シーケンスギャップのうち94%が閉じられた。さらに、この種内における遺伝的多様性の理解を深めるために、他の6匹のニシローランドゴリラから得たショートリード配列が用いられた。Susie3とヒトゲノムアセンブリを比較したところ、合計で117,512の挿入および欠失、そして697の逆位変異が明らかになった。これらの遺伝子イベントの86%は、今回初めて同定されたものである。これらの結果は、ヒトとその親戚である非ヒト霊長類との遺伝的多様性に関する理解が深められるとともに、他の哺乳類のゲノムをより高い精度で配列決定する方法を示すものである。
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