News Release

今回の新しい服は超「クール」

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Keeping Cool Without Losing Your Shirt

image: This is a GIF of how nanoporous polyethylene reflects visible sunlight, but allow heat to escape. Such material could be used to create clothes that help keep people cool. This material relates to a paper that appeared in the Sept. 2, 2016 issue of <i>Science</i>, published by AAAS. The paper, by P.-C. Hsu at Stanford University in Stanford, CA, and colleagues was titled, "Radiative human body cooling by nanoporous polyethylene textile." view more 

Credit: Carla Schaffer / AAAS

日光は反射するが人体の発する熱は逃がすような布が開発された。人間は有史以来ずっと体を暖めるために毛皮や布をまとってきたが、暑い夏の日に「クール」になるための服の開発はこれまで難しかった。なぜなら、正常皮膚温度の34℃では、人体の発する中赤外(IR)線の波長域と可視光スペクトルの波長域とが一部重なっているせいで、可視光を遮断する布は体温がこもりがちになるからだ。今回、Po-Chun HsuとYi Cuiらは、IR線を通すナノ多孔性ポリエチレン(ナノPE)を利用する道を探った。ナノPEは直径50~1000ナノメートルの細孔が互いにつながっており、この直径が可視光の波長と同程度なので可視光を散乱する。しかもこのサイズでは、細孔のほうがIRの波長よりもずっと小さいので、ナノPEはIRをかなり透過する。研究チームがナノPEを調べたところ、96%のIRを通すことが判明した(これに比べて木綿は1.5%)。普通のポリエチレンも同程度のIRを通すが、ナノPEは可視光を反射する点においてこの昔ながらの布をはるかにしのぎ、不透過率は99%だった(これに比べて木綿は20%)。人間の皮膚の発熱を模倣した装置を用いて実験した結果、ナノPEを使った場合の人工皮膚の温度上昇は0.8℃だった。これに比べて木綿は3.5℃、市販のポリエチレンの布は2.9℃だった。普通のポリエチレンは水分を吸い上げにくいのだが、研究者らはマイクロニードルによる穴あけ技術を用いるとともに、撥水剤で素材をコーティングすることで、ナノPEの水分吸上力を高めることに成功した。関連するPerspectiveではSvetlana Boriskinaが、この新しい素材は体を涼しく保つのに使うエネルギーコスト(冷房費など)を減らせるうえに、テントや建物や乗り物の温度管理にも使用できることを強調している。

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