News Release

Scienceの2015 Breakthrough of the Year:CRISPR

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Scienceは2015 Breakthrough of the YearとしてCRISPRと呼ばれるゲノム編集技術を選んだ。Managing NewsのエディターJohn Travisはこれを「過去に例のない選択」と述べているが、それは、この技術がこれまでに2回、Scienceの次点候補に挙げられており、今回唯一の次点候補として最終的にBreakthroughに繰り上がったためである。Scienceが年間の科学的breakthroughのリストの中からCRISPRをトップに選んだのは、新鮮な影響力が認められたからである。例えば、様々な害虫の根絶を目的として、長年探し求められてきた「遺伝子ドライブ」を生み出したこと、ヒト胚のDNAの初の意図的な編集(この春に中国の研究者らが行って議論を呼んだ)を行ったこと、そしてブタゲノムにおけるレトロウイルスDNAのコピー62個のCRISPRによる削除が成功し、待たれているヒトのための臓器提供においてブタ臓器が検討対象となる道をひらく動きとなったことが、その内容である。Travisの記事では、CRISPRは、他のゲノム編集技術と比べて正確な位置に遺伝子を送達する能力が優れていることに加え、この技術が安価で使いやすいという性質から、何千もの研究室や高校生、さらには「バイオハッカー」たちも3年前に誕生したこの技術を利用し始めていることを強調している。Travisは「もし科学者たちが遺伝子操作を夢見ることができるとすれば、今やCRISPRがそれを可能にすると言っても、それほど言い過ぎではない」と述べている。このツールが有望であることと並んで、植物、動物およびヒトにおけるその使用の最適な規制方法に関する議論が続いており、今月初めにワシントンDCで開催された国際サミット会議でもヒトゲノム編集の話題が議論された。関連するEditorial記事でScienceの姉妹ジャーナルの編集長であるMarcia McNuttは「この2年以内に、CRISPRは生物学の多くの多様な領域において、免疫療法[Scienceの2013 Breakthrough]がん患者にもたらしたのと同様の、永続的な興奮と楽観主義をもたらしてくれるだろう」との希望を述べている。

今年のBreakthrough of the Year特集には、他に読者が選んだ投票結果を掲載し、これには一般市民が素晴らしいと思った科学上のbreakthroughへの投票も含まれ、冥王星軌道を通過した宇宙船ニュー・ホライズンズの探査飛行がトップに選ばれている。

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